国土交通省は、都市再生の好循環の加速や災害に強い大都市の構築を訴え「大都市戦略」の素案をまとめ、25日に開か
れた大都市戦略検討委員会に提示した。素案では、大都市で「コンパクト+ネットワーク」の理念を実現するため、鉄道沿線に都市機能が集積する大都市特有の構造を生かしつつ、公共交通機能の強化と駅周辺への生活支援機能の誘導を進めるなど、公共交通を軸とした大都市構造の再構築を図る方針が示された。
大都市戦略の素案では、すでに日本が人口減少局面に入ったと指摘し、従来の大都市政策では、国際競争力の強化、防災性の向上、高齢化社会への対応といった大都市に求められる機能を維持できないと強調。都市機能の陳腐化を脱却するためには、政策の転換を図る必要があると訴えている。
素案で、新たな政策の基本方針とされたのは「都市再生の好循環の加速」「大都市『コンパクト+ネットワーク』の形成」「災害に強い大都市の構築」の3点。
このうち、大都市におけるコンパクト+ネットワークの形成に向けては、鉄道網が発達し、沿線に都市機能が集積する大都市の特長を生かした「鉄道沿線まちづくり」を進める方針が打ち出された。公共交通機関の強化を図るとともに、医療・福祉、子育て支援などの生活支援機能を駅周辺に誘導、日常の生活サービスと働く場が近い「医職住の近接化」を図るよう提言した。
民間主導の都市再生の加速・深化も図る。老朽化する都市ストックの更新、国際競争力の強化、都市機能の高度化の3段階でこれまでの都市再生の取り組みを加速させる。2020年東京五輪が、民間投資を呼び込む追い風になるとの期待感も示された。大都市の災害への脆弱(ぜいじゃく)性を解消するため、密集市街地の早期改善、都市公園・地下街などインフラの老朽化対策を進めるとともに、大規模地震に備えた業務継続性の確保、帰宅困難者対策などの施策を講じる必要性も示した。
提供:建通新聞社