延べ300平方b以上の建築物の設計・工事監理に書面契約を義務付ける改正建築士法が、きょう25日施行される。従来、建築物の設計・工事監理は、書面で契約されていないケースがあったため、責任が不明確になり、建築紛争が長期化する原因になっていた。改正法ではまた、建築士免許証偽造による建築士のなりすまし事案の発生を受け、建築士に対する建築主への免許証提示を義務化する。
建築士法は、日本建築士会連合会、日本建築士事務所協会連合会、日本建築家協会の建築設計3団体による「建築物の設計工事監理の業の適正化及び建築主等への情報開示の充実に関する共同提案」を踏まえ、議員立法として改正法案が提出された。改正法は2014年の通常国会で成立、同年6月27日に公布された。
改正の柱は延べ300平方b以上の建築物の設計・工事監理に書面契約を義務付けたことだ。建築主と建築設計・工事監理業が対等な立場で契約を結ぶことを原則化した上で、延べ300平方bを超える建築物で書面による契約締結を義務化。延べ300平方b以上の建築物の新築工事では、設計・工事監理の一括再委託も禁止する。
管理建築士の責務として、受託する業務等の選定、業務の実施者の選定、提携先の選定、事務所の技術者の管理の4点に明確化する。建築士事務所の開設者が管理建築士の意見を尊重することも義務付けられた。
建築主などの委託者からの求めに応じ、建築士免許証の提示も義務化される。定期講習の受講履歴、顔写真など、建築士免許証の記載事項に変更があった場合の書き換え規定も盛り込まれた。
国土交通省は、改正法施行の改正に合わせ、1級建築士の懲戒処分基準を見直し、同じ25日付で施行する。延べ300平方b以上の建築物の設計・設計監理の契約を書面で交付しなかったり、建築士免許証の掲示について建築主の求めに応じないと、原則1カ月の業務停止処分を科すとした。
提供:建通新聞社