全国建設業協会(全建)は19日の理事会で、2016年度の税制改正に関する要望事項を決めた。雇用増加に対する税額控除の期間延長と要件緩和を新規に盛り込んだ他、少額減価償却資産の取得価額をめぐる損金算入特例制度についても、期間の延長と併せて上限額の改善を求める。今夏に国土交通省や自民党など関係諸機関への要望活動を積極展開する。
雇用増加に対する税額控除の適用要件は▽青色申告書を提出する事業主▽事業年度中に雇用者数を5人(中小企業2人)以上かつ10%以上増加▽前事業年度よりも支払給与額が一定以上増加―などで、増やした人数の1人当たり40万円分の法人税などが控除される。欠員補充は適用外。15年度末までの時限付き措置だ。
建設業が中長期的な担い手確保・育成に取り組むためには、期間の延長はもちろん、人数などの要件を緩和する必要があると考えている。
一方、少額減価償却資産の取得価額を損金に算入できる特例制度は、青色申告書を提出する資本金1億円以下の中小企業などが、年間300万円を上限に取得価額30万円未満の減価償却資産を全て損金算入できる仕組み。こちらも適用期間が15年度末までとなっている。
コンピューターなどの積極導入で事務の効率化を進めるとともに、消費税がアップしたことも踏まえ、期間の延長と上限額の改善をセットで求めていく。
同様に15年度末が期限となっている「交際費などの損金算入特例」と「欠損金繰戻還付制度の延長」を要望する。
さらに▽法人住民税と事業税の「事務所・事業所」から仮設現場事務所を除外▽近隣対策費の必要経費(損金算入)区分の明確化▽建設企業の実態を踏まえた法人税率の引き下げ、貸倒引当金の繰入限度額の引き上げ―なども挙げた。印紙税(17年度まで軽減税率が適用)は「長期的には廃止も視野に入れるべき」ものだと訴えていく。
提供:建通新聞社