建設コンサルタンツ協会(建コン協、長谷川伸一会長)は、7月1日の九州を皮切りに実施する2015年度地方ブロック意見交換会で、工期不足と納期の年度末集中が品質の確保を危うくし、就業環境や生産性を悪化させる原因の一つになっていると指摘。品質を確保し、就業環境を改善するためにも▽十分な設計・照査時間の確保▽三者(発注者・工事請負業者・建設コンサルタント)会議などによる品質確保の取り組みの活性化▽繰り越し明許手続きの柔軟な運用などによる適正工期の設定、納期の平準化―が必要だとして、国交省などの発注者にこれらの実現を要望していくことにしている。
建コン協が14年度業務を対象としてアンケート調査を実施したところ、当初工期が不足しているとした回答が15%程度、変更後工期が不足しているとした回答が35%程度あった。不足する工期月数(平均)は当初で2カ月程度、変更後工期でも1・9カ月程度と認識していることが分かった。
また年度末(3月)の業務コストの増大が特に顕著となっており、社員の人件費を見ても、4〜6月は間接業務費・一般管理業務費の割合が34%(平均)となっているのに対し、1〜3月の割合(平均)は23%となっており、4〜6月が1〜3月より比較的業務に余裕があることが確認された。
一方で、36協定限度時間の月平均値超えの割合は約7割に上っており、納期の年度末集中による就業環境悪化への懸念が、これまでにも増して指摘されるようになっている。
このため、建コン協は国交省など発注者に対し、あらためて適正な工期設定や早期発注、複数年契約を要望。設計・照査に必要な時間の確保を図るとともに、繰り越し処理て続きを円滑に進めるための繰越処理ガイドラインを策定し、運用するよう国交省にあらためて働き掛けていく。
提供:建通新聞社