日本建設業連合会(日建連)は「就労履歴管理システム推進本部」を設置する。システム構築に向けた官民コンソーシアムを通じ、制度設計やシステム設計に日建連の考えを反映させる。建築と土木の各運営会議の主要メンバー会社で構成し、本部長に村田誉之建築運営会議議長(大成建設社長)、副本部長には小原好一土木運営会議議長(前田建設工業社長)が就く。建設業許可業者が100%社会保険に加入し、工事現場からの未加入者の排除が始まる2017年度のシステム稼働を視野に入れて活動していく方針だ。
就労履歴管理システムは、建設現場ごとの労務安全書類の電子化にとどまっている労務管理システムから、登録されている労働者の現場経験データを統合。建設業で共通に使えるIDカードを労働者一人一人に発行して▽入退場管理▽本人確認、資格のチェック▽各労働者の現場経験データの蓄積―を可能にする。技能と経験を「見える化」し、社会保険の加入状況も把握できるようにする。労働者の適正な評価とそれに見合った処遇の確保にもつなげる。
国土交通省と建設業団体などは5月19日の建設産業活性化会議で、就労履歴管理システムを早急に構築することで合意。7月にも国交省と建設業団体による官民コンソーシアムを発足させ、具体的な検討に着手する見通しだ。
推進本部には、本部長と副本部長の他、建築・土木各運営会議の▽竹中工務店▽大林組▽安藤ハザマ▽戸田建設▽長谷工コーポレーション▽鹿島▽清水建設▽五洋建設▽西松建設▽三井住友建設―の10社から本部員が参加。メンバー会社の部長クラスで構成する幹事会も置く。
日建連では、システム構築に当たり▽運用主体▽データの入力・登録方法▽労働者の個人情報管理▽登録料―などが検討課題になると予想。公共工事・民間工事の違いや規模の大小を問わず、全ての建設労働者の登録を想定している。年内に制度の枠組みを固めた上で、2016年度にはシステムの設計作業をスタートさせるスケジュール感を持っている。
推進本部はシステムが本格運用されるまで置く。
日建連の中村満義会長は18日の理事会後の会見で、入職促進と社会保険加入を関連付けながら「労働者個人の加入状況を正確に把握するためには、建設業界全体の一元的な就労履歴管理システムの構築が必要」と強調。推進本部の設置を踏まえ、国交省や関係団体と連携・協力して「システムの早急な構築に向けて取り組む」考えを示した。
提供:建通新聞社