国土交通省は、首都圏整備の現状と今後の展望を分析する首都圏白書(2015年度版)をまとめた。人口減少・少子高齢化が進む中、今後も首都圏が活力を維持するためには、首都圏の市場の魅力と技術力という強みを伸ばし、世界の高度人材を引き付ける必要があるとした。さらに、2020年東京五輪を国際見本市と位置付け、住宅の省エネ技術や高度な都市交通を世界に売り込む重要性を訴えている。
首都圏の総人口は現状では増加しているものの、15年の4360万人をピークに減少すると推計されている。一方、高齢者数は急激なペースで増加する見通しだ。
白書では「首都圏の今後の活力維持には新たな視点が必要」と問題提起。急増する高齢者を社会で支えるという視点から、経験と知識がある貴重な社会的資産・人材と捉える視点に転換し、高齢者の社会参加を一層促すことが求められるとした。
一方、首都圏には、学術研究機関や従業者の集積、圏内の企業の特許登録件数が全体の過半を占める知財創出にみられるように、市場の魅力と技術力という強みがある。この強みを伸ばすことで、世界の高度人材を引き付け、国内全体の経済をけん引する役割を果たすとともに、その効果を地方圏に波及させることが期待されるとした。
加えて、20年の東京五輪が、こうした首都圏が持つ市場の魅力と技術力を世界に情報を発信する「絶好の機会」と捉える重要性についても記述。省エネ技術をアピールできる住宅・住宅設備や高度な都市交通システム、リニア新幹線などの技術を展示する機会とすることを求めた。
提供:建通新聞社