国土交通省や農林水産省らで構成する「多様な主体が管理する道活用」連絡会(座長・米田雅子慶応義塾大学先導研究センター特任教授)の初会合が11日に開かれ、「異種の道ネットワーク」の実現に向けた検討がスタートした。農道や林道などさまざな道を接続し、災害時の避難路を拡大させるための方策を探る。当面の対象エリアとして岐阜、静岡、三重、和歌山、徳島、高知、宮崎の各県を想定し、南海トラフ巨大地震などに備えるという。
会議には、国交省、農水省、林野庁、内閣府といった関係省庁のほか、検討対象7県の担当者、電気通信事業者らが参画している。冒頭にあいさつした米田座長は、東日本大震災の際に林道が避難路になったことに触れた上で、「組織の垣根を越え、異種の道をつなぐことができれば多くの人命が救われると希望を持っている」と述べ、異種の道のネットワーク化に意欲を見せた。
ネットワーク化に向けては、国道や県道、市町村道、林道、農道、砂防管理道、電力管理道などについての現状を調査し、GISによるデータ統合を行うとしている。その上で、災害時対応や国土保全、森林整備といった観点から相互利用を進めるため、各管理者間で調整することになる。
比較的規模が大きな道は、ネットワーク化の対象とし、さまざまな道と接続させて避難路や代替輸送路として機能させる。さらに、国土強靭化地域計画への反映も目指す。
一方、規模の小さな道については、自治体からの情報提供を受けた地域住民自らによる避難路検討を促す。最終的には、電子国土基本図への反映や、接続道路の新設・補強を目指すことにしている。
「異種の道ネットワーク」構想は、日本プロジェクト産業協議会(JAPIC)の森林再生事業化委員会が関係省庁らに提案していたもの。これまでに岐阜県の3市(高山、下呂、郡上)でパイロット調査が行われた。
提供:建通新聞社