急激な人口減少、少子高齢化、クルマ社会が進展する中で、地方創生を支える地域の生活の足の確保を―。9日に閣議決定した交通政策白書は、地域公共交通が抱える課題を示し、「コンパクト+ネットワーク」の考え方を踏まえた地域交通ネットワーク再編の必要性を指摘している。
白書は、2013年に成立した交通政策基本法に基づき、交通施策を報告するために初めて取りまとめられたもの。交通の動向、地方創生を支える地域公共交通の再構築、14年度交通に関して講じた施策、15年度交通に関して講じようとする施策―の4部で構成。
このうち、地方創生を支える地域公共交通の再構築では、地域公共交通の現状や役割を記した一方、今後の在り方として、まちづくりと連携した地域交通ネットワーク再編などを示した。
その上で、課題解決に向けた各地の先進的な事例として、コンパクトシティの形成に向けLRT(次世代路面電車)導入による沿線居住の推進(富山市)、北近畿タンゴ鉄道を軸に複数都市連携によるネットワーク形成(京都府)、新船導入に併せた航路や接続バス路線の再編(鹿児島県薩摩川内市)、集落拠点を中心としたエリアでデマンドバスによる生活の足の確保(高知県黒潮町)を取り上げている。
国の取り組み状況と課題としては、これら各地の創意工夫あふれる取り組みが進むよう、地方運輸局などを活用して支援を充実していくとした。
白書ではこのほか、▽改正法に基づく地域公共交通網形成計画の策定総数(現状値26件、目標値100件)▽国際コンテナ戦略港湾における大水深コンテナターミナルの整備数(同5バース、同12バース)▽緊急輸送道路上の橋梁の耐震化率(同81%、同82%)―など、交通政策基本計画(15年2月閣議決定)に盛り込まれた施策の進捗(しんちょく)状況などを記載している。
提供:建通新聞社