防衛省は、7月1日以降に入札公告する自衛隊施設の建設工事で、予備自衛官と即応予備自衛官を現場に配置する入札参加者に総合評価方式で加点措置を与えることを決めた。駐屯地などの現場の事情に精通した予備自衛官らを技術者・技能労働者として配置した際に、総合評価の「企業の信頼性・社会性」の評価区分で最大2点を加点する。
対象工事は、自衛隊の駐屯地、分屯地、基地、分屯基地、演習場内で実施する工事のうち、予定価格6億円未満の総合評価方式で入札を行うもの。同省は2014年度、対象工事に該当する工事を約290件発注している。
対象工事では、予備自衛官と即応予備自衛官を技術者・技能労働者として現場に配置する入札参加者について、「企業の信頼性・社会性」の評価区分で加点する。入札段階で契約を結ぶ下請け企業を決めてもらい、下請け企業が技能労働者として雇用する予備自衛官と即応予備自衛官も加点対象とする。
配置する技術者・技能労働者には、駐屯地などとの調整で現場代理人をサポートしたり、現場配置期間が延べ30人・日以上であることを求める。
対象工事の建設地である駐屯地などの勤務経験がある場合に2点、同じ都道府県内の駐屯地などで勤務経験がある場合に1点、隣接する県などの駐屯地などでの勤務経験がある場合に0・5点を加点する。
自衛隊は、50代半ばで退職する若年定年制と20代で退職する任期制を採用し、毎年、定年退職者6000人(53〜55歳)、任期満了退職者2000人(20代)の合計8000人が退職する。
予備自衛官と即応予備自衛官は、防衛召集や災害召集に備え、希望する退職自衛官に年間数十日間の訓練を求める制度。予備自衛官には1年間に20日以下、即応予備自衛官には30日間の訓練に従事する。
自衛官には、クレーン運転技能者や玉掛技能者など建設系の資格・免許の取得者が多く、建設業でも即戦力としての活用が期待できる。防衛省は建設業向けの説明会を開くなど、退職した予備自衛官や即応予備自衛官を雇用するよう建設業団体などに働き掛けていた。
提供:建通新聞社