「顔の見える連携」で河川のはんらん被害を最小限に―。荒川下流域を対象とした全国初の本格的な「タイムライン」(防災行動計画)がまとまり、8日に関係機関による意見交換が行われた。区をまたがる広域避難や鉄道運行停止など、タイムラインの全国展開に向け、今後の取り組みに注目が集まる。
タイムラインは、関係機関が取り組む防災活動について、災害発生の数日前から発災(破堤)までを時系列で整理したもの。国や自治体、交通事業者らの役割が段階ごとに明記されている。全国展開に向けたモデルとして位置付けられた荒川下流域では、昨年夏から検討が進められてきた。
今回まとまったタイムラインによると、地元自治体のほか、鉄道事業者、福祉施設、警察、消防など20機関37部局が参加。広域避難や鉄道運行停止、高齢者の早期避難支援など250項目以上の防災活動が時系列に整理されている。
8日の意見交換に出席した太田昭宏国土交通相は「全国の先駆を切る取り組み。顔の見える連携で対応したい」と述べた。自治体からは「交通事業者がちゅうちょなく運行を停止できる環境づくりをすべき」(花川與惣太北区長)、「高齢者など要支援者への対応が重要」(近藤やよい足立区長)といった意見が上がった。
国交省では今回の意見交換などを踏まえ、ことしの出水期から関係機関と連携しながら、タイムラインを試行していく考え。
提供:建通新聞社