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中央ニュース

2015/05/31

多様な入札契約モデル 14年度事業を報告

 国土交通省が地方自治体を支援する「多様な入札契約方式モデル事業」の報告会が28日に行われ、2014年度対象案件の枠組みが明らかになった。除雪量の多寡に応じた担い手確保とノウハウ継承方策の検討(宮城県)、既成市街地の鉄道近接・狭あい箇所での大規模下水道工事(相模原市)、施工候補者の早期関与によるコスト縮減・工期短縮(愛知県新城市)など、各自治体が抱える課題への解決策が報告された。
 モデル事業は、改正品確法に位置付けられた「多様な入札契約方式」の導入を検討する地方自治体を支援するもの。14年度は秋田県大仙市、宮城県、相模原市、新城市、大阪府を選び、国交省の費用負担で派遣された建設コンサルタントが事業費算定、工事費積算、入札説明書・特記使用書の作成などを支援した。
 自治体職員53人(13都県22市区町)が参加した報告会で注目を集めたのは、新城市の本庁舎建設。設計段階から施工者が参画する「ECI方式」を参考とした「VE協働方式」を確実に運用するために支援が行われた。
 具体的には、複雑になっていた事業関与者(発注者、設計者、施工候補者ら)の役割や責任を再整理するために「全体事業プロセス案」のほか、役割や責任を定義づける「実施協定書案」、コストダウンに向けた「コスト推移シート」の作成を提案している。
 宮城県と大仙市の取り組みは、いずれも除雪業務に関係するもの。宮城県では継続体制の維持や新規参入の促進(少雪地域)、技術の継承や道路除雪水準の確保(多雪・豪雪地域)など、抱える課題が地域により異なる。
 このため、少雪地域で「除雪ノウハウのマニュアル化」や、農林業などに携わる人材を有効活用するための「人材マッチング」などを提案。多雪・豪雪地域で「複数年契約化」や他事業との「一括発注化」などを段階的に取り組むとした。
 除雪業務が冬期間の主な公共事業となっている大仙市でも、ノウハウの継承やバックアップ体制の確保といった課題がある。さらに降雪量に左右される会社経営からの脱却も求められている。
 解決策として提案されたのは、「共同受注化」「複数年契約化」「GPS除雪情報システムによる分析」など。共同受注化に当たっては、説明会でその目的を明確に示したり、受注者側の意向を把握。民間保有機械を活用する場合の積算基準見直しも提案している。GPSシステムは、全体の最適化に向けて作業情報を活用するもので、稼働率から最適な工区割りを検討する。
 既成市街地での大規模下水道工事の実施に当たり、コスト増の回避、事業期間の短縮、事業執行体制の確保などを目指す相模原市に対しては、「相模原プロジェクト・マネジメント・パートナーシップ(PMP)業務」に基づく事業実施が提案された。
 設計条件の整理や発注者を支援するPMP業務を事業の流れに組み込むことで、施工段階での設計変更の最小化、事業スケジュールの効率的な管理などを行っていく。
 大阪府に対する提案は、府有施設の軽微な補修事業について、膨大な発注事務作業が発生し、施設管理部署と補修担当部署との密接な連携が不可欠な状況にあるため、「補修工事緊急度判定マニュアル案」「補修工事標準単価・補修工事標準図」の作成を示した。
 マニュアルは、施設管理部署の非技術系職員でも判断できるものとする。また、不急の工事はストックした上で一括発注することになる。単価・標準図の作成は、見積もりを徴集することなく予定価格を構築するためで、工事実績を蓄積し、順次標準化を目指す。

提供:建通新聞社