全国建設業協会(全建)の近藤晴貞会長は27日の総会後の会見で、建設業の生産性向上をめぐる指標の明確化が必要との認識を示した。他産業との比較の中で、1人当たりの出来高を引き合いに「単価が上がれば労働生産性も上がる」としながらも、生産システムや施工方法の合理化によって「歩掛かりが上がるから単価を下げていいということになれば、労働生産性は変わらない」と指摘。建設業の特性に応じた指標を設定しないままでは「(生産性向上の)議論はスタートしない」と断じた。
若年者の入職促進の鍵を握る休暇の取得拡大とも関連付けて、「休みが増えれば労働生産性は下がる。それを補う分のコストを上げてもらわないと、(休暇の拡大は)できない」と述べ、休暇に見合った設計労務単価にすることの重要性を説いた。
また、担い手3法の本格運用を踏まえ、発注者が「決められた通りに取り組んでいるか追いかけていかなければならない」とし、受注者の「われわれも(責務を果たすために)活動方針に掲げた施策を一つずつ着実に実施に移していけるか突き詰めていかなければならない」と主張した。
同席した奥村太加典副会長は、発注者の禁止事項となった歩切りに言及しつつ「罰則規定がないからやってもいいのではない、との考えを持って行動していきたい」と強調。また、岩田圭剛副会長は「われわれに課せられた責任を履行しなければならない」、檜山典英副会長も「将来の見通しはまだ不透明」とし、建設産業の再生の前提となる公共事業予算の確保を引き続き要望する構えを見せた。
北川義信副会長は、自社の業績分析で「直轄工事は落札率が5%上がり、粗利率も上がった」ことを紹介し、背景には「担い手3法のおかげ」があるとの見方を提示。一方、自治体に対しては、中央公契連モデルにこだわらず「地方の事情」を考慮して「最低制限価格を実利的に上げる」措置を求めていく考えを明らかにした。
提供:建通新聞社