市区町村に空き家対策を行う権限を与える「空家対策推進特別措置法」が26日に全面施行されたことに合わせ、国土交通省は対策の対象となる「特定空き家」の判断基準などを盛り込んだガイドラインを同日付で発表した。ガイドラインでは、建築物が著しく傾いている状態やアスベストが飛散する可能性がある状態、地域の景観計画に適合しないものなど、市区町村が特定空き家に認定できる空き家の状態を具体的に例示した。
昨年11月の臨時国会で成立した空き家対策推進特措法は26日に全面施行された。特措法では、市区町村が▽倒壊・保安上の危険▽衛生上有害▽景観を阻害▽その他周辺環境の保全で不適切―といった状態にある空き家を特定空き家に指定し、所有者に立入調査・指導・勧告・命令などに加え、空き家の除却を代執行する権限を与えた。
ガイドラインでは、特措法に基づいて市区町村が特定空き家に認定できる空き家の具体例を示した。倒壊などで保安上危険となる空き家については「基礎に不同沈下がある」「屋根が変形」「擁壁表面に水がしみ出し、流出している」などと例示。衛生上有害なものとしては、アスベストの飛散、浄化槽の放置・破損による臭気の発生などを列挙した。
景観を損なう空き家も特定空き家に認定することができる。景観法に基づく景観計画、地域で定めた景観保全のルールに適合しない空き家は、特定空き家に認定できるとしている。
人口減少と高齢化で空き家は増加の一途をたどっており、全国で820万戸(2013年時点)に上る。特措法は、市町村の権限を強化したことに加え、特定空き家に認定されると、空き家増加の一因と指摘されている固定資産税の住宅用地特例の対象から除外できるようになるなど、税制上の規制も強めた。
提供:建通新聞社