日本橋梁建設協会(橋建協)の新会長に選出された石井孝JFEエンジニアリング取締役専務執行役員は22日、通常総会後に就任会見を開き、会員企業の経営と社会資本整備を取り巻く環境の変化を踏まえ、向こう2年間のかじ取りの方向を示した。
―優先課題は何か。
「鋼橋の良さのPRだ。幸い、橋建協会員が協力して実勢価格を割り出している。この価格を建設コンサルタントと顧客(発注者)に丁寧に説明し、鋼橋のメリットを理解していただきたいと考えている」
―人材確保・育成をどう進めるていくのか。
「一つはインターンシップの活用。海外で仕事をしたがっている若い人も少なくないようだ。そうした人たちが海外経験を積めるチャンスも提供していきたい。一方で、技術継承という課題がある。われわれのサクセスは20年〜30年前。ベテラン技術者といわれる人の多くが50歳代となっている。このままでは(日本の鋼橋が)終わってしまう。若い人たちに技術を継承していきたい」
―需要動向をどう見ているのか。
「一般論として東京オリンピックに向けた需要が見込めるのではないか―という見方もあったが、橋梁に関して言えば思いのほか需要はなさそうだ。関東圏で言えば、環状線、圏央道、外環道がだいたい終わりが見えてきている。名古屋や大阪でリングロードの話がある。これからの発注の中心はそちらに移っていくのではないか。阪神高速道路も沿岸を開発していこう、つないでいこうとしているようなので期待したい」
―若手技術者への技能継承にはビッグプロジェクトが必要ではないか。
「私の知る限り、長大橋の計画は海外にも五つもない。われわれが海外に出ていこうとしたとき、例えば吊り橋のPQ(施工実績)を持っている会員企業が少なくなっているという現状もある。国土交通省にも、ぜひ、国内で長大橋を架けていただくようお願いしていきたいと思っている」
―需要見通しの中で大規模更新をどうみている(位置付けている)のか。
「道路会社各社は償還期間を先延ばしして、改修のために非常に大きな予算を充てようとしている。われわれの事業の中でも大規模改修や修繕は、金額的にも大きなウエートを占めるようになってくるだろう。逆にそれらを取り込まないと、われわれの事業が成り立たなくなってくると考えている」
提供:建通新聞社