日本空調衛生工事業協会(日空衛、野村春紀会長)は、「日空衛2015―新たな中期ビジョン―」をまとめた。▽低炭素社会づくりへの目に見える貢献▽リニューアル市場の積極的な開拓▽人材の確保・育成の推進▽技術力と生産性の向上▽健全経営と顧客満足度向上に向けた事業環境の構築▽コンプライアンスの徹底による社会的信頼の確保―の六つが柱。
「低炭素社会づくりへの目に見える貢献」については「民生部門での空調衛生設備に起因するCO2排出量がわが国の総排出量の10%を超えると想定されている」と指摘。建築基準法改正における省エネルギー基準の義務化やZEBの実現など具体的な目標を見据えながら、空調衛生工事業界が目に見える形で低炭素社会の実現に貢献していく必要性を指摘した。
「リニューアル市場の積極的な開拓」の中でも、業務用建築部門が有するCO2削減ポテンシャル(30〜50%)は極めて大きいと指摘。リニューアル工事は建て替え工事に比べて元請け比率が高いため、顧客の条件に合せて最適なCO2削減対策を一貫してサポートすることでメリットを発揮しやすい分野―との認識を示した。
中期ビジョンは「人材の確保・育成」が最大の懸案とした上で「労働環境の改善なしに人材の確保はない」と断言。処遇改善を進める一方、高齢者の継続的な活躍の場や女性、外国人など、これまで活躍の場が少なかった人的資源の活用などについても検討し、これらの取り組みと並行して生産性の向上や技術革新を進めるよう促した。
「健全経営と顧客満足度向上に向けた事業環境の構築」では、適正工期と適正利益を確保することの重要性をあらためて確認。施工責任の明確化と顧客満足度向上の視点に立って、分離発注と許可業種区分の見直しを図っていく考えを示した。 また、日空衛が要望している「機械設備一式工事」と「空調衛生工事」の許可業種区分新設については、関係機関の理解を得るために必要な事項を整理し、ユーザーの立場から見た必要性について検証していく、とした。
「コンプライアンスの徹底による社会的信頼の確保」については、第21回全国会議(2014年10月)で決議した行動宣言に基づき、会員企業・団体が▽「独占禁止法順守カード」の携行▽講習会・研修会の実施―などを実行し、法令順守を徹底していく決意を示した。
提供:建通新聞社