「日本版マイスター制度」の創設を目指す、自民党の特命委員会が14日、初会合を開いた。技能者の技能を証明する資格制度として、ドイツのマイスター制度を日本に取り入れられないか検討する。日本に「ものづくり熟練工」を育成する制度を整え、技能者の処遇改善や社会的地位の確立を狙う。議員立法による制度創設を目指す。
ドイツのマイスター制度は、第1級の職人を育成するため、年少のうちから学校教育と職業体験が一体となった訓練(デュアル・システム)を受けるとともに、法律や会計など経営に必要な知識も学んだ上で与えられる資格で、主に「手工業マイスター」と「工業マイスター」がある。
手工業マイスターには、大工、左官、塗装、配管工事など建設系の職種も多い。将来的に自営業者になることを想定した資格制度であるため、全94業種のうち41業種はマイスター資格がないと独立開業することができない。後進の教育訓練を行うことができるのもマイスターの有資格者のみとなる。
日本の技能検定制度は、毎年30万人前後が合格し、累計で約547万人の技能士がいるが、有資格者の処遇改善や社会的地位確立に果たす役割が十分ではないとの指摘もある。一方で、厚生労働省は、若年技能者への実技指導などを行う「ものづくりマイスター制度」を創設、若年技能者の人材育成などに力を入れ始めた。
特命委員会は、厚労省のものづくりマイスター制度やドイツのマイスター制度を参考に、新制度の対象分野を特定した上で、新制度を検討する方針だ。
提供:建通新聞社