国土交通省は、元下間で法定福利費の支払いを実質的に担保する「別枠支給」などを実現するための枠組み・方策について検討を進める。これと合せて、建設業会計・経理実務などに関する研修を2015年度に全国の主要都市で開催する。専門工事業者の法定福利費を内訳明示した見積書(標準見積書)の作成能力向上が目的。社会保険加入の原資となる法定福利費が元請けから適正に支払われるよう、まず下請けの専門工事業者側に標準見積書に対する理解を深めてもらう。
法定福利費の支払いを実質的に担保する方策の検討と研修の開催は、ことし1月に開かれた「社会保険未加入対策推進協議会」に、国交省が新たな対策して提示していた。同省は「必要な法定福利費を確保するための方策に関する調査・検討業務」として6月にも外部委託する。
法定福利費が適正に支払われるようにするには、下請けの専門工事業者が法定福利費を算出した上で標準見積書を作成し、元請けに提出することが前提になる。このため研修会では専門工事業者を対象に建設業会計や経理実務における法定福利費の位置付けや取り扱いを解説し、標準見積書の作成能力向上を図る。
法定福利費の支払いを実質的に担保する枠組みについては、15年度末までに検討の成果をまとめる。元請けから下請けに対し、法定福利費が適正に支払われるようにする方法としては、法定福利費の「別枠支給」「別枠明示」「事後精算」などが想定されている。
委託業務では、これらの枠組みを構築するために必要な法令改正や請負契約における措置、代金支払いにおける商慣習などについて幅広く検討してもらう。
提供:建通新聞社