国土交通省は、建設業法違反の取り締まりや指導監督を行う「建設業法令遵守推進本部」の2015年度活動方針を決め、各地方整備局などに通知した。15年度は、直轄工事の発注部局と連携し、全ての直轄工事で社会保険未加入企業に対する加入指導を実施することや、外国人建設就労者受入事業で受入企業に適切に立入検査を実施することを新たに指示。「駆け込みホットライン」に加え、3月に設置した「建設業フォローアップ相談ダイヤル」に寄せられた情報などから、適切に立入調査の対象企業を選定することを求めた。
国交省の直轄工事では、2014年8月から社会保険未加入対策を強化し、施工体制台帳の提出義務がある下請け代金総額3000万円以上(建築一式4500万円以上)の工事で、元請けに保険未加入の1次下請けとの契約を禁止。未加入の2次下請け以下の企業についても、発注部局から建設業許可部局に通報し、加入指導を行っている。
改正入札契約適正化法の施行で、施工体制台帳の提出義務が全工事に拡大したことに合わせ、4月1日からは直轄工事における通報・加入指導の対象も全工事に広がった。このため、推進本部の活動方針でも、発注部局や厚生労働省と連携し、円滑で適切な加入指導に取り組むよう求めている。
法定福利費を内訳として明示する標準見積書の活用状況は、これまでも契約・支払い状況に関する検査を実施する際に確認してきたが、4月1日に改訂された「社会保険の加入に関する下請け指導ガイドライン」では、元請けに下請けに対する見積条件として標準見積書を提出するよう求めた。活動方針には、このガイドラインへの順守の状況を16年度以降の立入検査で確認することが明記されている。
建設業法違反の疑いのある企業に対しては「駆け込みホットライン」に加え、改正品確法の運用指針の本格運用に合わせて設置した「建設業フォローアップ相談ダイヤル」に寄せられた相談などを通じ、立入検査の対象企業を選定するよう求めている。
推進本部では14年度、駆け込みホットラインや下請取引等実態調査で得られた情報から、立入検査を延べ877件で実施し、▽建設業許可取消1件▽営業停止67件、指示14件▽勧告223件―などの監督処分を行った。北陸新幹線の消融雪設備工事をめぐる官製談合事件などを受け、独占禁止法違反による営業停止が前年度の2件から56件に増加した。
提供:建通新聞社