国土交通省と総務省は28日、全国の都道府県・市区町村を対象に行った「歩切り」の実態調査(1月1日時点)結果を発表した。調査に対し、全地方自治体の42・3%に当たる757団体が「設計書金額から減額して予定価格を決定している場合がある」と回答、予定価格設定の段階で歩切りを行っていた事実を認めた。ただ、この757団体の中には、予定価格の適正な設定を発注者責務と位置付けた改正品確法の本格施行などを契機に、歩切りを取り止めると答えた自治体も303団体あり、このうち259団体は4月中に改善すると回答した。
国交省・総務省は昨年12月、すべての都道府県・市区町村(1788団体)に調査票とともに歩切りの違法性や定義を解説したリーフレットを送付。調査票の回収率は100%だった。
リーフレットでは、適正な積算に基づく設計書金額を控除する歩切りが改正品確法第7条第1号に違反するとその違法性を明記。調査票ではまず、リーフレットに記載された歩切りの違法性・定義の理解を問い、99・7%に当たる1783団体がリーフレットの内容を確認・理解したと答えた。
調査では、全自治体の42・3%に当たる757団体が何らかの方法・理由で歩切りを行っていると回答。このうち、設計書金額減額の理由を「慣例による」「財政健全化や公共事業費削減」「一定の公共事業費で多くの工事を行うため」「追加工事に備えて予算の一部を留保し、補正予算などの議会手続きを経ずに変更契約を行うため」と答えた自治体が459団体(すべて市区町村)あった。
他方、予定価格の漏洩を防ぐため、無作為の係数を乗じることなどによる「端数処理等」を行っているとした自治体は297団体。歩切りを行っているにも関わらず、減額の理由を答えなかった自治体も1団体(関東ブロック)あった。
国交省・総務省が強く是正を求めている、慣例や財政健全化を理由とする歩切りを行っていた459団体のうち、56・4%に当たる259団体が4月中に改善すると回答。5月以降に改善すると答えた44団体を加えると、66%の自治体が改善の意向を示した。
一方で、改善するかどうか「未定」が149団体、改善を図る予定がないと答えた自治体も北陸・近畿・中国・九州ブロックで各1団体、四国ブロックで3団体の合わせて7団体あった。
提供:建通新聞社