建設経済研究所は、地方に本社がある躯体3職種(とび・土工、鉄筋、型枠)の専門工事業者を対象に建設技能労働者の現状に関するヒアリングを行った。ヒアリングでは「独立しても仕事がないため、2次下請けとして請負形態をとろうとするところは少ない」との声があるなど、地方では技能労働者に安定志向が強いことを背景に、技能労働者を社員として常時雇用し、自社施工比率が高い1次下請けが多い現状が浮き彫りになった。
ヒアリングは地方に本社を置き、大手・準大手・地場ゼネコンやハウスメーカーを主要取引先とする専門工事業者24社を対象に14年11月〜15年2月に行われた。建設経済研究所はこれに先立ち、首都圏と関西圏の専門工事業者にも同じヒアリングを行っており、都市部と地方の技能労働者の比較も合わせてまとめた。 ヒアリングの結果をみると、ゼネコンの系列化が進み、特定のゼネコンの協力会に所属する1次下請けが大半の首都圏・関西圏に比べ、地方では複数の全国展開するゼネコンや地場ゼネコンと取り引きする1次下請けが多かった。仕事量が都市部に比べて少ないため、1次下請けに対する2次下請けの専属度も都市部に比べて低いという。
1次下請けと2次下請け以下との役割分担でも、都市部と地方で差が表れた。労務を2次下請け以下に外注する1次下請けが多い都市部に対し、地方では技能労働者を社員として常時雇用する業者が比較的多い。こうした背景には、社員として雇用しないと、若年労働者を確保できない地方の実情もあるという。
ヒアリングの結果は、23日に発表された建設経済レポートに盛り込まれている。
提供:建通新聞社