国土交通省は21日、国土審議会計画部会に今後10年間を計画期間とする「第5次国土利用計画(全国計画)」の素案を提示した。本格的な人口減少が進む中で土地需要が減少し、国土の利用と管理が縮小する懸念を払しょくするため、都市のコンパクト化に向けて居住機能や都市機能を中心部に誘導するとともに、災害リスクの高い地域の土地利用を制限する土地利用の基本方針を示した。
国土利用計画(全国計画)は、国土を限られた資源と捉え、国土利用の長期的な方向性を全国レベルを示したもの。全国計画を基本に都道府県計画、市町村計画も定められる。計画部会は、国土づくりの方向性を示す国土形成計画と一体で検討を進めており、今夏に最終報告をまとめる。
第5次計画の素案では、人口減少下で土地需要が減少することで、農地・林地の管理水準が低下したり、都市における非効率な土地利用が増加することを問題視。居住機能と都市機能を中心部に誘導することや、空き家を有効活用した低未利用地の解消などを図る方針を示した。
一方、災害リスクの高い35%の地域に人口の70%以上が集中していることを懸念し、安全を優先的に考慮する国土利用への転換を提唱。災害リスクの高い地域の土地利用を制限したり、公共施設を安全な地域に立地させることで、居住を誘導する方向性を提示した。
提供:建通新聞社