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2015/04/22

国交省 住生活基本計画見直しへ

 国土交通省は21日、社会資本整備審議会住宅宅地分科会を開き、住宅の質の向上を図るための基本方針や施策の成果指標などを示す「住生活基本計画(全国計画)」の見直しに向けた検討作業をスタートさせた。2020年度を期限とする現行計画を、人口減少、高齢化、空き家の増加など、計画策定後の住宅を取り巻く社会経済情勢の変化に対応する形へと見直す。25年度を目標年度とする新たな計画は16年3月に閣議決定する見通しだ。
 現行の住生活基本計画(全国計画)は、11〜20年度の10年間の住宅政策の基本方針を示すとともに、新耐震基準を満たす住宅95%、高齢者人口に対する高齢者向け住宅の割合を3〜5%、新築住宅の省エネ基準達成率100%、といった20年度までに達成する施策の成果指標を示したもの。
 国交省は21日の住宅宅地分科会で、計画を策定した11年度以降の住宅を取り巻く社会経済情勢の変化を説明。人口減少社会の本格的な到来で、2060年の総人口が約8700万人と現在の3分の2にまで減少するとともに、住宅ストック総数約5210万戸(13年時点)のうち、築35年以上のストックが約30%に上るとした。また、空き家の総数は、この20年で1・8倍の820万戸まで増加している。
 こうした現状を踏まえて提示された見直しの論点では、住宅の供給拡大を進めるフロー″からストック″の維持・向上を図る視点へと住宅政策の視点を転換する方向性が示された。具体的には、既存住宅市場の活性化、空き家の利活用・除却、住宅のストック効果の分析・公表などの施策を示している。
 まちづくりと住宅政策が連携して地域の価値向上を図る方針も示され、都市のコンパクト化を図るための居住の誘導、密集市街地の改善、スマートウェルネス住宅の実現などを進めるとした。また、防災上危険な区域で実施されている住宅整備に対する支援措置を縮小し、防災上安全な区域に居住を誘導する具体策も提示している。
 住宅宅地分科会では、15年末までに改訂案をまとめ、パブリックコメントや都道府県への意見照会を行う。関係省庁との協議を経て、16年3月に新たな計画を閣議決定する予定。

提供:建通新聞社