総務省は、PFIの推進に関して行った行政評価・監視の結果をまとめた。文部科学省に対しては、公立学校施設整備に伴うBOT方式では所有権の移転が無償の場合、負担金などが交付されない懸念があるとして、負担金などの交付に際しての課題を整理し、必要な取り組みを行うよう勧告。環境省に対しては、禁止している再委託には該当しないPFI事業契約締結の要件を明確にし、地方公共団体に周知するよう勧告した。
総務省は、文科省が、無償または有償で行われる所有権の移転時の買収費を公立学校施設整備費の交付対象としているため、無償で行われる移転には交付が行われなくなる恐れがあるとの懸念を表明。
また、BOT方式で施設を整備した場合、公立学校施設整備費負担金や学校施設環境改善交付金の交付時期が、交付対象施設の所有権が公共に移転されるPFI事業期間終了時(25年後)となることがこの方式の採用を困難にしていると指摘。BTO方式と同様に施設の完工期に補助適用となるよう改善を促した。
その上で「業務の再委託の禁止」の事例として浄化槽PFI事業を取り上げ、この事業では公共とPFI事業委託を締結したSPCから構成企業への収集・運搬業務の委託は、禁止されている再委託に該当するおそれがあると指摘。禁止している再委託には該当しないPFI事業契約締結の要件を明確にし、地方公共団体に周知するよう勧告した。
他方、PFI事業の支援を目的として内閣府が実施している専門家派遣事業にも切り込んだ。この事業の2013年度までの利用実績が想定の6割未満、予算執行率は3割未満で推移し、調査した76地方公共団体のうち同事業の利用が6地方公共団体にとどまっている点を指摘、事業の見直しも求めた。
総務省によると、05年度〜08年度まで毎年5000億円超で推移していたPFI事業が09年度以降は減少傾向にあり、13年度末までに実施方針が公表されたPFI事業数の累計は440事業、事業費の合計は4兆3000億円となっている。
国は15府省庁のうち10府省庁(66・7%)、都道府県は47都道府県のうち28都道府県(59・6%)、政令指定都市は20市のうち13市(65%)がPFI事業を実施。一方、市区町村は1722市区町村のうち、実施は147市区町村(8.5%)にとどまっている。
提供:建通新聞社