厚生労働省は、2015〜20年度までを計画期間とするインフラ長寿命化計画を策定した。所掌する水道、福祉、医療、雇用、年金―の4分野のインフラと同省が管理する官庁施設が対象。旧耐震基準で建築された109の日本年金機構の年金事務所のうち、耐震診断の結果、耐震能力不足とされた30事務所の耐震補強を、16年度中の完了を目指して優先的に進める。医療・福祉施設については個別施設計画の策定を促していく。
資産規模が40兆円を超える水道については、水道事業会計の料金収入の不足によって老朽化した水道施設の更新ができなくなった水道事業者が多いことを指摘。水道施設の長寿命化を含めた行動計画となる同省の「新水道ビジョン」を踏まえ、水道事業者が、長寿命化行動計画「水道事業ビジョン」を作成するよう促すとした。
医療施設の体制構築については、建築物・建築設備の点検・診断を民間企業に委託することは有効な手段の一つとしながらも、個別施設においても点検・診断の結果に応じてさらに詳細な点検・診断が必要になるとして「日常的に施設の状況を把握できる能力」のある人材の確保を求めていく。
福祉施設については、それぞれ個別の施設で発注に関わる人材が不足している状況があるとし、施設の老朽化を前提として維持管理・更新の担い手を確保していくことの重要性を指摘。日本年金機構が管理する年金事務所については、耐震能力の不足が判明している30事務所の耐震補強を優先的に実施する考えを示し、敷地面積や建ぺい率などの制約から、耐震補強ができない事務所については賃貸物件への移転も考慮するとした。
14年度から「官庁施設情報管理システム(BIMMS―N)」を運用している官庁施設については、厚労省が管理する全ての官公庁施設の保全実態調査に必要な施設の諸元などの情報を、15年度中に同管理システムに登録。同管理システムを活用して「中長期保全計画」と「保全台帳」を作成するとともに、必要に応じて対策内容を追加し、15年度末までに個別施設計画の策定を完了させる。
提供:建通新聞社