国土交通省は8日、社会資本整備審議会道路分科会基本政策部会に、全道路管理者の橋梁・トンネルの点検・診断結果などを「道路メンテナンス年報」としてまとめ、毎年公表すると報告した。道路の老朽化対策の現状を国民に分かりやすく情報提供する。また、生活道路の交通事故を防ぐため、生活道路への侵入抑制や速度抑制を図る「生活道路の新仕様」を標準化する方針も示した。
8日の会合は、道路分科会がまとめた2012年6月の建議と14年4月の「道路の老朽化対策の本格実施に関する提言」に盛り込まれた施策の進捗(しんちょく)状況を確認した。
14年4月の提言は、老朽化対策を本格的に軌道に乗せるため「道路管理者に対して厳しく点検を義務化」するよう求めたもので、国交省はこの提言に沿って橋梁・トンネルの点検・診断を5年に1度実施することを全道路管理者に義務付けた。
道路メンテナンス年報は、義務化された点検・診断による各施設の健全度判定、健全度に応じた対策の内容、各施設の諸元などを盛り込む。老朽化対策の結果を「見える化」し、国民にインフラの老朽化に対する理解を深めてもらう狙いがある。収集したデータを道路管理者間で共有できるシステムを構築することも検討する。
交通事故死の半数が歩行中・自転車乗車中に発生していることを踏まえ、生活道路と幹線道路の機能を分け、死者数の半減を目指す。周辺に幹線道路が整備された地域では、生活道路の構造で物理的に車両の速度低減などを図る「生活道路の新仕様」を標準化する。交差点を狭くして車両が生活道路に進入することを抑制したり、ハンプ・シケインなどで車両の速度を低減させる。
対策を講じる緊急性の高い地域では、国が市町村の計画づくりを支援する「暮らしの道再生戦略(仮称)」を推進する。
提供:建通新聞社