国土交通省は3日、東洋ゴム工業による免震材料の不正問題を受け、有識者らによる第三者委員会の初会合を開いた。不正取得の疑いのある195棟の安全性の確認と原因究明、再発防止策を検討し、夏までに提言をまとめる。委員長を務める深尾精一首都大学東京名誉教授は「同様の事案が再び生じないよう、適切な対策をとりまとめたい」と話した。
国交省は3日の初会合で、大臣認定を不正取得した免震材料を使用していた55棟の安全性について、震度6強から7程度の地震に対し「倒壊の恐れがない」などとする調査結果を報告。ただ、当初設計時に想定した性能が低下しているため、東洋ゴム工業は建築主の求めに応じ、免震材料を取り換える方針を表明している。
不正に大臣認定を取得した疑いのある195棟については、国交省の現時点の調査で、使用されている免震材料の揺れを抑える性能のばらつきが、55棟に使用された製品よりも少ないことを確認。有識者からも「現時点で、基準法で決める最低限のレベルはクリアしているのではないか」との意見が出た。
東洋ゴム工業は、2007年にも断熱パネルの不燃性能試験における不正が発覚し、大臣認定を取り消されている。同社が策定していた再発防止策は結果的に機能しなかったことになる。第三者委員会では次回以降、原因究明を行った上で再発防止策を検討する。必要に応じ、大臣認定制度の見直しも図る方針だ
提供:建通新聞社