国土交通省は、直轄工事の工事書類削減に取り組む。施工計画書や出来形管理資料などの工事書類を電子データと紙の双方で「二重納品」する施工者が少なからずいるため、工事着手前に紙・電子のどちらで納品するか発注者と事前協議することを特記仕様書などに明示する。さらに、事前協議で受発注者が電子で納品することを決めた書類が紙で提出されても、工事成績の評価から外すことを工事成績評定実施要領に明記した。1日に入札公告した工事から適用を始めた。
直轄工事の受注者には▽契約図書(契約書、設計図書)▽契約関係書類(現場代理人等通知書、請負代金内訳書、工程表など)▽工事書類(工事写真、工事帳票)▽工事完成図書(工事完成図、工事管理台帳、地質土質調査成果)―などの工事関係書類の提出が求められている。
受注者側からは書類の簡素化を求める声が以前から強く、国交省は10年9月の通達などで、契約書と契約関係書類を「紙のみで提出」、工事書類を「紙または電子のいずれかで提出」、工事完成図書を「紙・電子の両方で納品」、工事完成図書のうち地質土質調査成果を「電子のみ納品」とする工事関係書類の提出方法の明確化を図った。
ただ、その後も紙・電子のいずれかで提出することが求められている工事書類について、電子・紙で二重に納品する施工者が多いという。このため、特記仕様書に工事書類を紙・電子のどちらで提出するか、受発注者間で事前協議することを明記。電子で納品することを決めた書類は、完成検査などの際に紙で提出しないことも追記した。
営繕工事では、現場説明書に、提出する工事書類を受発注者で協議することを記載し、提出書類の削減を図る。
また、電子のみの提出が成績評定に影響することを懸念する受注者がいることを踏まえ、工事成績評定実施要領に「評定にあたっては、事前協議による作成書類以外の書類は、評価の対象外とする」と明記。事前協議で受発注者間で取り決めた内容が現場に徹底されるようにする。
提供:建通新聞社