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2015/03/26

総合評価 工事成績重視型を試行 国交省

 国土交通省は、25日に開いた「総合評価方式の活用・改善等による品質確保に関する懇談会」で、2015年度から工事実績よりも工事成績を高く評価する「工事成績重視型」を全国で試行する方針を打ち出した。総合評価方式が広く導入されても、依然として価格で落札者が決まる傾向にあり、工事実績よりも技術評価点に差がつきやすい工事成績の配点を高める。併せて、一部の地方整備局で試行している「チャレンジ型」や「自治体実績評価型」を全国に展開し、直轄で実績が少ない企業に受注機会を与える。
 直轄工事の総合評価では、技術評価点の最高得点者が落札する割合が増加傾向にあるものの、企業・技術者の実績評価のウエートが高い施工能力評価型では、最低価格以外の参加者が落札するいわゆる「逆転落札」は全体の22%にとどまり、依然として価格要素で落札者が決定する工事が大半を占める。
 現在の施工能力評価型などでは、工事成績よりも、過去15年の同種工事の実績の配点が高い。過去の同種工事の実績は、参加者間で差がつきにくく、落札者が価格で決まる要因の一つになっている。
 こうした現状を踏まえ、国交省の直轄工事では、15年度から工事成績の配点を高くする「工事成績重視型」を全国で試行する。すでに九州地整では、工事実績9点、工事成績6点としている配点を工事実績5点、工事成績10点に変更したり、参加者間でより差がつきやすいように工事成績の評価基準を見直した工事成績重視型を試行する方針を決めている。
 ただ、工事成績を重視することで、直轄の実績や成績がない企業の新規参入が困難になる懸念も高まるとともに、過去の実績が豊富な企業に受注が偏ることも考えられる。直轄工事の受注実績がない企業は、直轄工事の総合評価で工事成績の評価がゼロ点となるため、技術評価点が相対的に低くなり、落札が難しくなる。
 このため、工事成績重視型の試行に合わせ、関東、近畿、九州、沖縄の各地整などで試行している「チャレンジ型」を全国の地整などで試行する。実績の少ない優良企業が入札に参加できるよう、企業の実績を加点評価せずに技術提案のみを評価する。同じ目的で、地方自治体の工事成績を評価する「自治体実績評価型」も全国で試行する方針だ。
 このほか、技術評価点の最高得点者が複数でるケースが全体の47%で発生している「WTO技術提案評価型S型」について、技術評価点に差がつきやすくするため、技術提案の求め方や審査方法を見直す。

提供:建通新聞社