国土交通省の社会資本整備審議会道路分科会道路技術小委員会は24日、切土・盛土などの「道路土工構造物技術基準」の制定、「道路緑化技術基準」と「道路標識設置基準」の改正内容を了承した。新たに制定する道路土工構造物技術基準では、道路の重要度に応じた要求性能を規定。調査・設計段階で同一路線で連続する構造物の性能との整合を図ることや、排水設計を行うことを義務付ける。いずれも、3月中に道路管理者に通達する。
道路土工構造物技術基準の対象は、切土(法面保護)、斜面安定施設(擁壁、法枠、ロックシェッド)、盛土(補強土壁)、カルバート(ボックス・アーチカルバート)。これまでは、日本道路協会の基準を準用し、国交省としての基準はなかった。
基準では、道路土工構造物の重要度を2段階に分類し、高速道路や国道、都道府県・市町村が監理する緊急輸送道路などを「重要度1」と規定。その上で▽道路構造物が損傷しても機能に支障はでない(性能1)▽道路構造物の損傷は限定的で機能もすみやかに回復できる(性能2)▽道路土工構造物の損傷が致命的にならない(性能3)―の3段階で要求性能を設定。施設の重要度に応じて性能を決めることを求めた。
設計段階で要求性能を設定する際、同一路線に整備する構造物の性能との整合を図ることも義務付ける。排水溝の設置など排水設計を義務化し、雨水や湧水を速やかに排除する構造とすることで、土中の水が引き起こす構造物の損傷や災害を防止する。
道路緑化技術基準の改正では、植栽構成の画一化を解消するため、地域区分ごとに設けている植栽構成の規定を削除。地域計画と整合を図る規定を新たに設けるほか、設計段階で道路空間に見合った樹種を選定するよう求める。
道路標識設置基準の改正では、与条件として考慮すべき荷重、安全性・維持管理・耐久性の要求性能を追加。耐久性については、部材の設計に当たって経年劣化を考慮する規定も追加する。
このほか、24日の道路技術小委員会では、国交省が2015年度から舗装、土工、道路附属物(標識、照明施設など)の点検要領の見直しを検討することを報告した。
提供:建通新聞社