国土交通省は、CIM(コンストラクション・インフォメーション・モデリング)の導入に向け、2015年度に3次元図面を工事の入札段階で提供することを検討する。試行業務で作成した3次元図面をPDF化し、入札参加者に提供することで、より高度な技術提案や工事積算に活用してもらう。また、3月中に土木工事数量算出要領を見直したり、CIM試行工事の成果品作成の手引きをまとめるなど、CIMに対応した基準も整える。
国交省は「CIM制度検討会」を16日に開き、CIM導入に向けた今後の制度検討事項を示した。
このうち、3次元図面の入札公告段階での提供は、工事契約図書の電子提供の一環として検討。現在、国交省の「入札説明書等ダウンロードシステム」では、入札参加者が2次元の設計図書を公告段階でダウンロードできる。これまでにCIMを試行した設計業務の成果品として提出された設計図書をPDF化し、工事の入札公告段階で3次元図面として提供する。
契約図書の電子提供では、受託者や受注者向けに成果品作成の手引きも整理する。試行業務については、作成済みの手引きに、3次元形状情報を作成するための詳細度の方向性と目安を追加。試行工事向けの手引きは新たに作成する。また、3次元CADを使って数量算出が行えるよう、土木工事数量算出要領も改定する。
制度検討会にはこのほか、12〜14年度に実施した試行業務・工事の成果も報告された。試行業務はこの3年間で、概略・予備設計で7件、詳細設計で33件の合計40件で実施した。同省が試行業務の受託者に行ったアンケートでは、受託者の50%がCIM導入の効果を実感したと回答。3次元化による条件誤認の減少など、可視化によって品質向上と効率化が図れたとの意見が目立った。
試行工事は49件で実施しており、内訳は、発注者による指定型が13件、受注者による希望型が35件、詳細設計付きが1件。試行工事でCIMの効果を認める意見は全体の77%と業務よりも多く、「可視化、干渉チェックによる施工の手戻り削減」「安全教育、安全管理の向上、効率化」「施工管理、品質管理の効率化」などを挙げる意見が目立っている。
国交省は15年度、CIM導入に向けた制度面の検討に加え、14年度と同程度の件数を試行業務・試行工事として発注する考えでいる。
提供:建通新聞社