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2015/03/17

【国連防災世界会議】建築系5団体 安全なまち・家づくりを議 国連防災世界会議パブリック・フォーラム

 国連防災世界会議パブリック・フォーラムの建築系5団体シンポジウムが14日、仙台市民会館で開かれた。会員や建築系学生、一般市民など約500人が参加。基調講演や復興の先行事例の紹介を通して安全なまちづくり・家づくりの在り方を探った。
 主催は日本建築学会、日本建築士会連合会、日本建築士事務所協会連合会、日本建築家協会、日本建設業連合会の5団体。開催に当たり、日本建築学会の吉野博会長は「現代の災害は、建物の倒壊やインフラの断絶といった人間がつくり出した環境の崩壊によっても多くの人命が失われるということが特徴だ。命を守るまちや家はどのようにすれば実現することができるのか」と問題を提起した。
 基調講演ではインド工科大学教授で世界地震工学会会長のサジール・ジェーン(Sudhir・Jain)氏が、マグニチュード8を超える大規模地震が多発するインドで耐震設計や地震に強い工法が研究されてきた経緯について説明した上で、「建物の倒壊を防ぐためには地震ではなく、建物や建築業界に注目すべきだ」とし、専門家の積極的な取り組みが重要との考えを示した。
 福島県復興計画検討委員会会長を務めた鈴木浩福島大学名誉教授は「福島の現状と復興の課題」と題して講演。この中で鈴木氏は「福島原発災害は国内で3度目の本格的な原子力災害であり、世界で3度目の本格的な原発災害だ」と指摘し、被災者や被災地支援の実情を世界に発信すべきとの考えを示した。そのためにも「被災者や被災自治体がアクセスしやすい情報プラットフォームの整備が必要」と提言した。
 復興にかかわる建築専門家の意見発表も行われた。宮城県建築士会の砂金隆夫会長は被災建築物応急危険度判定について、事前に各支部と協定を締結していた宮城県塩釜市などで迅速に対応できたことを報告し、「市町村単位で完結する応急危険度判定の仕組みを構築することがベストだ」と強調した。
 JIA東北支部の渡邊宏氏は建築家の責務について、「地域と深い関係を持つ地域の建築家こそ、地域から信頼されるコミュニティーアーキテクトとして、復興の担い手とならなければならない」と訴えた。
 岩手県建築士事務所協会の鍋倉孝行専務理事は日事連・被災3県建築復興支援センターの役割について地域型復興住宅の供給に向けて、被災3県で約300の生産者グループを登録したことなどを説明。今後の課題については、平時から災害対策に向けた組織体制を整備することや、関係団体が相互に情報を共有化することの必要性を指摘した。
 復興の先進事例・BBB(ビルド・バック・ベター)では福島県の木造仮設住宅、防災集団移転促進事業の第1号となった宮城県岩沼市の玉浦西地区、JIA東北支部宮城地域会が支援した宮城県石巻市の「にっこり団地防災集団移転」、岩手県釜石市の「みらいのまちプロジェクト」などが紹介された。(地方建設専門紙の会)
 
提供:建通新聞社