国土交通省は、直轄の土木設計・測量・地質調査業務の積算基準と共通仕様書を改定した。積算基準では、設計業務の一般管理費等率を現行の30%から35%に引き上げるほか、測量業務と地質調査業務の諸経費率も引き上げる。予定価格でみると、設計が約8%、測量が約2〜5%、地質調査で約3〜4%上昇することになる。共通仕様書の改定では担当技術者の配置人数の上限をこれまでの3人から8人に変更。複数施設を一括で発注することが多い点検・診断業務で従来より多くの技術者を配置できるようにしたり、若手技術者らが実務経験を積みやすい環境を整える。
一般管理費等と諸経費は、役員報酬や法定福利費、企業の付加利益などで構成する。今回は、改正公共工事品質確保促進法(品確法)で発注者の責務とされた適正な予定価格の設定、担い手の確保・育成への配慮などを踏まえて引き上げる。設計業務は2011年に現在の積算体系になってから初めて、測量業務と地質調査は1993年以降で初の引き上げとなる。
業務価格を問わず一律に設定する設計業務の一般管理費等率は現行の30%から35%に引き上げ。一方、業務価格に応じ、44・9%〜87・8%の間で設定する測量の諸経費率は51・7%〜91・2%、地質調査は28%〜47・1%を32・8%〜52%にそれぞれ引き上げる。
設計、測量、地質調査の共通仕様書の改定では、担当技術者の配置人数の上限を3人から8人に見直した。これまでは、実際に業務に携わる技術者も、配置人数の上限である3人を超える場合は担当技術者として登録されず、設計業務の管理技術者や測量と地質調査の主任技術者の配置に必要な実務経験としてカウントされなかった。
一方、橋梁の点検・診断業務では、複数の橋梁を一括で委託することが多く、受託する企業は担当技術者の上限である3人を超える技術者を配置するケースもあるという。担当技術者の配置人数の上限を増やすことで、各企業は技術者に実務経験を積ませやすくなり、若手技術者が過去10年の実務経験を求められる管理技術者などになれるスピードが早くなったり、実務経験を積んだ技術者が増え、入札やプロポーザルで加点措置を受けやすくなることが期待できる。
改定した積算基準は4月1日に適用、共通仕様書は各地方整備局ごとに制定した上で4月以降に順次適用される。
提供:建通新聞社