国土交通省は、直轄工事の土木工事積算基準を改定し、1995年度以来20年ぶりに一般管理費等率を見直す。現行の一般管理費等率を7・41%〜20・29%に引き上げる。小規模工事ほど引き上げ幅は大きく、工事原価500万円以下では5・91ポイント上昇する。一般管理費等率の改定に伴い、現場管理費の外注経費も引き上げるため、工事価格3億円の道路工事では予定価格を合計で3%程度押し上げる効果があるという。また、市街地(DID)で施工する工事の積算で、共通仮設費率に1・3倍、現場管理費率に1・1倍を乗じる新たな補正係数も導入する。入札締切日が4月1日以降の工事から適用する。
企業の本支店の必要経費、試験研究費、付加利益を計上する一般管理費等は、改正公共工事品質確保促進法(品確法)に盛り込まれた受注者の適正利潤と人材育成・確保の費用を積算上に反映するため、実勢を踏まえて引き上げる。
現行の一般管理費等率は工事原価500万円以下で14・38%、30億円以上で7・22%と大規模工事ほど全体の予定価格に占める割合は低い。今回の改定では、30億円以上は0・19ポイント増の7・41%と伸び率が小幅だが、500万円以下は5・91ポイント増の20・29%と大きく伸びる。工事価格3億円の道路工事では、一般管理費等を金額ベースで約20%引き上げる効果があるという。
一般管理費等率の見直しに伴って、元請けが外注する際の一般管理費等を含む現場管理費の率も見直す。道路改良工事では、純工事費700万円以下で3・2ポイント増の32・73%、10億円以上で0・8ポイント増の24・71%に上昇する。
一方、市街地(DID)で施工する工事では、これまでも、共通仮設費率に2%、現場管理費率に1・5%を加算しているが、「鋼橋仮設工事」「電線共同溝工事」「道路維持工事」「舗装工事」の4工種を対象に、共通仮設費率に1・3倍、現場管理費率に1・1倍の補正係数を乗じる。
三大都市圏や政令市などでは、現在も同じ4工種を対象とする「大都市補正」で共通仮設費と現場管理費を補正しているが、大都市以外の市街地でも、作業効率の低下に配慮した補正措置を拡充する。市街地における補正を適用する標準的な舗装工事では、予定価格を約1%押し上げる効果があるという。
「標準歩掛 2工種を新設」
土木工事標準歩掛には、「補強土壁工(大型長方形壁面材)」と「連続鉄筋コンクリート舗装工」の2工種を新設するとともに、「道路打換え工」と「欠損部補修工」の2工種で、施工量が少ない小規模施工歩掛を追加する。加えて▽補強土壁工▽締切排水工▽コンクリート工(砂防)▽コンクリート舗装工▽トンネル濁水処理工―の5工種で、現場実態を踏まえた日当たり施工量、労務、資機材などを改定する。
提供:建通新聞社