環境省は、政府が目指す観光立国の実現と2020年東京オリンピック・パラリンピックの開催に向け、2015年度予算で創設する自然環境整備交付金6億円を含む約88億円を、国立公園における公園利用施設の国際化と老朽化対策に充当する。これとは別に低炭素・資源循環・自然共生―の統合的アプローチによる首都・東京の低炭素化を推進し、オリンピック会場を「ショーケース化」する。
自然環境整備交付金は、国立公園で都道府県が行う公園利用施設の標識・情報提供施設の多言語化や、公衆トイレの様式化、荒廃・破損した歩道・落下防止柵の再整備などに対し、必要な事業費の2分の1を上限として補助する。地域の特性を生かし、自然と触れ合える施設の整備や自然環境の保全・再生についても支援する。
わが国を象徴する皇居外苑濠の水環境改善にも1億5000万円を充てる。
皇居外苑濠は、オリンピック・パラリンピックのロードレースなどの開催場所となる。このため、15年度は濠に蓄積した底泥対策や新たな補給水源の確保策、千鳥ヶ淵などにおける生物や水生植物の生息・生育環境整備などについて検討し、年度内をめどに新たな水質改善計画を作成する。
政府は、14年6月に閣議決定した「骨太の方針2014」の中で「20年に向け、訪日外国人旅行者2000万人の高みを目指す」とした目標を掲げる一方、「観光立国の実現に向けたアクション・プログラム2014」の中で、世界に通用する魅力ある観光地域づくりの一環として、国立公園などの利用施設の高質化を実施する方針を示している。
20年は世界の温室効果ガスの削減目標年であり、生物多様性の損失防止目標の「節目」の年。環境省はオリンピック会場を環境技術大国・日本の「ショーケース」と位置付けて低炭素化を推進し、世界が注目するこの機会を最大限活用して環境分野でリードする日本の姿を国内外にアピールしたいと考えている。
提供:建通新聞社