全国建設業協会(全建、近藤晴貞会長)は「将来の地域建設産業の担い手確保・育成のための行動指針」を策定した。国土交通省の建設産業活性化会議が打ち出した各種対策に呼応して、傘下の都道府県協会とその会員企業が担い手の確保・育成を進めるための事項を整理したもの。「処遇の改善」「多様な人材の活躍」などの柱を掲げ、適切な賃金水準の確保や社会保険の加入促進、週休2日制の実現、若年者対策、女性の入職・定着などに取り組むとしている。
20日の理事会で承認を得た。取り組みの柱は▽処遇の改善▽将来の担い手づくり▽多様な人材の活躍▽戦略的広報の展開―の4本。
中身を見ると、適切な賃金水準を確保するためには「適正な利潤の確保が必要」なことから、会員企業は「行き過ぎた重層化やダンピング受注は行わず、技能労働者の賃金水準を確保できる請負契約の締結に努める」と明記。下請け企業にも「適切な水準の賃金を支払うよう要請・指導する」とした。
また、社会保険の加入を促進するため、下請け企業選定時に元請けが加入状況を確認・指導したり、国交省のガイドラインに沿った標準見積書の提出を指導する。民間建築工事でも、法定福利費の確実な確保と再下請け企業などの加入状況の確認に努める。
労働環境は「過重労働を排し、無理のない作業環境」を整えたり、「安全衛生教育の徹底」と「安全衛生経費の確保」を通じて改善。発注者と連携し、機械化やプレキャスト化、IT化、工事関係書類の簡素化などを進めることで、労働時間の短縮と作業の軽減につなげる。
週休2日制は▽適切な労務単価の確保▽適正工期の設定▽現場での工程管理の徹底―で実現を目指す。併せて「変形労働時間制の導入」や「有給休暇取得率の向上」に努め、休暇を取りやすい就業環境を整備していく。
若年者対策では▽教育関係者との意見交換会▽インターンシップ▽職場見学会▽出前講座―などを開いて建設産業への理解を高めてもらう。資格取得やスキルアップ研修の実施、技術コンクール・技能競技大会への応募も支援する。建設産業担い手確保・育成コンソーシアムを通じた人材育成や、厚生労働省の助成金を活用した訓練などにも言及した。
女性の入職・定着に向けては、女性技術者との交流会の開催や家庭との両立支援、トイレ・更衣室の整備などを進める。加えて、男性も育児・介護・家事に積極的に関わることができるようにするため、「短時間勤務制度」や「フレックスタイム」の導入に努めるとした。高齢者の継続雇用や職場復帰、外国人建設就労者受入企業に対する適切な指導などにも取り組む。
提供:建通新聞社