国土交通省は、4月1日に一部施行する改正建設業法と改正入札契約適正化法で、すべての公共工事に入札金額の工事費内訳書の提出と施工体制台帳の提出を義務付ける。同省は工事費内訳書の提出を義務付けていない発注者の参考となる内訳書の簡易な様式を作成。施工体制台帳については、全国建設業協会(全建)が制度改正に伴う統一様式の見直し作業を進めている。4月の施行を見据え、発注者・受注者に改正内容や趣旨を周知する。
工事費内訳書には、工種ごとの見積金額や、直接工事費、共通仮設費、現場管理費、一般管理費等など、工事価格の内訳を記載させる。見積もり能力のない参加者の排除、談合などの不正行為を防止する目的で、すでに公共工事の発注者の4分の3が入札参加者に提出を義務付けているが、これまで法律上の提出義務はなかった。
昨年5月に成立した改正建設業法・入契法では、全ての公共工事の入札参加者に工事費内訳書の提出を義務付けることにした。現在、提出を義務付けていない発注者は、4月1日以降の入札公告以降、工事費内訳書の提出を入札参加者に求める。
国交省は、これまで提出を義務付けていない発注者に対し、提出された内訳書の取り扱いについて▽内訳書の内容に不備(提出者名・工事件名の誤記、入札金額と内訳書の総額の著しい相違など)がある場合に原則として提出者の入札を無効とする▽低入札価格調査の際の内訳書の比較▽談合情報が寄せられた際の内訳書の比較―などを例示している。
施工体制台帳は現在、特定建設業者が元請けとなる下請け契約額の合計3000万円(建築一式工事は4500万円)以上の公共工事で、発注者への提出を義務付けている。近年、小規模な維持修繕工事が増加していることを考慮し、台帳の提出義務を全ての公共工事に拡大し、手抜き工事や一括下請負を防止する。
4月1日から外国人建設就労者受入事業が始まることに伴い、各現場の外国人技能実習生と外国人建設就労者の従事の有無を台帳に記載することも併せて求める。制度改正に併せ、全建は年度末までに台帳の統一様式を見直し、各都道府県建設業協会に周知する予定だ。
提供:建通新聞社