全国中小建設業協会(全中建)の松井守夫会長は23日に東京都内で開いた理事会で、担い手の確保・育成策として、担い手3法の制定をはじめ多くの施策が実現している動きは「中小建設業にとって大変ありがたいことである」と述べ、「社会に奉仕する力強い地場産業として、一致団結して役割を果たしていきたい」との決意を示した。一方で、「優良な中小企業が生き残るためには、10年以上の安定・継続した公共事業予算の確保と工事発注の平準化、ダンピングの排除、歩切りの撤廃が必要不可欠」と強調。「今後も関係機関や地方公共団体に対して要望していく」と訴えた。
理事会では、昨年10〜12月にかけて7ブロック・8会場で実施した全国ブロック別意見交換会議の内容を報告した。担い手3法の内容を会員団体・企業に周知するとともに、それぞれの地域の現状や問題点について生の声を聞き、会員が直面している課題や意見を行政に反映することを目的に実施したもの。国土交通省の担当官が出席し、意見交換も行った。
会員からは、歩切りやダンピング対策、技術・技能者不足などについて幅広く意見が出された。
その中で、歩切りに対する現状として「メーカーからの見積もり価格の7〜8割の価格で設計単価を決める発注者がいる」といった指摘や、「当初の予算の範囲内に収めるため、直接工事費の見積もり部分を削減することで帳尻合わせをしている」「同一業者による隣接工事があると、落札後に合算経費として後に落札した工事の経費を一定の率で減額される」などの報告があった。市町村に対する指導のほか、議員への啓蒙も必要であるとの声が寄せられた。
意見に対する行政からの回答としては、改正品確法によって、発注に関する考え方・価値観そのものが新しく生まれ変わり、ルールも変わったということを全国の市町村にしっかりと浸透させていきたいなどとの方向性が示された。
理事会の議事ではこのほか、新制度の「全中建あんしん工事保険制度」を周知したほか、14年度に実施した陳情活動の報告などを承認した。
また、国土交通省の吉田光市建設流通政策審議官が講演。業界全体の現状や4月から運用を開始する改正品確法の運用指針などに触れ、「今年は経済の好循環を確かにし、担い手確保を促進するための転換期だ」と語った。
提供:建通新聞社