国土交通省は、全国の都道府県を対象に行った発注・施工時期の平準化に関するアンケート調査を行った。調査結果によると、第1四半期に極端に減る工事量を増やすため、ゼロ県債を活用して平準化に取り組んでいる都道府県は13団体。ゼロ県債以外でも、工期12カ月未満の工事への債務負担行為の活用(東京都)、翌債・繰越制度の活用と県内市町村への働き掛け(高知県)などに取り組む地方自治体もあり、国交省はこれらの先進的な事例を他の自治体に紹介し、全国に発注・施工時期の平準化に向けた取り組みを浸透させる考えだ。
発注・施工時期の平準化は、1月中にもまとまる公共工事品質確保促進法の運用指針でも、発注者が実施に努めるべき事項として盛り込まれる。国交省の直轄工事でも、2015年度から現在より小規模な工事で国庫債務負担行為を弾力的に運用したり、受注者に工事着手時期の裁量を与える「余裕期間」の設定を標準化するなど、平準化に向けた取り組みを強化する。
同省が昨年12月に行った調査によると、すでに債務負担行為の活用などによる発注・施工時期の平準化を図っている都道府県があるという。工事量が例年減る第1四半期の工事量を確保し、年間の工事量を平準化するためにゼロ県債を活用している都道府県は▽青森県▽秋田県▽福島県▽栃木県▽群馬県▽新潟県▽富山県▽石川県▽滋賀県▽高知県▽福岡県▽佐賀県▽熊本県―の13県。
また、秋田県、富山県、島根県では、工期が長期間に及ぶ大型工事などに設定されることが多い債務負担行為を維持管理や除雪に活用している。
このほか、東京都は、年間の発注件数が平準化されるように工期が12カ月未満の工事にも債務負担行為を活用。高知県は同県発注工事で翌債・繰越制度を活用することに加え、県内の市町村にも同様の取り組みを行うことを働き掛けている。
一方、国交省の調査には、発注・施工時期の平準化に現在のところ取り組んでいない自治体からも「品確法改正を契機に調整を進める」「他団体を参考に対策を検討する」など前向きな回答も寄せられている。国交省は、各ブロックなどに発注者を集める地域発注者協議会などの場を通じ、市町村も含めて発注・施工時期の平準化に取り組むことを訴える方針だ。
提供:建通新聞社