国土交通省は20日、局地化、集中化、激甚化する降雨などからの被害軽減を目指す「新たなステージに対応した防災・減災の在り方」を発表した。最大クラスの大雨から住民の生命と社会経済を守るため、行政が浸水想定を作成した上で住民による「主体的避難」を促すとともに、行政・企業・公益事業者が連携し、重要施設の耐水化や業務継続計画の作成などを進める必要性を提言している。
昨年8月の広島土砂災害による被害を受けて設置された有識者懇談会の意見を踏まえ、今後の対策の方向性を示した。
この中では、最大クラスの大雨の被害をハードのみで防ぎきるのは現実的でないとして「比較的発生頻度の高い降雨等」に対しては施設で防御することを基本としつつ、それを超える降雨に対しては「少なくとも命を守り、社会経済に対して壊滅的な被害が発生しない」ことを目標とした。
住民の命を守る施策の方向性としては、従来の「行動指南型」の避難勧告に加えて「状況情報」の提供による主体的避難を促進する方針を提示。最大クラスの洪水・内水・高潮の浸水想定やハザードマップを作成した上で、防災訓練や転入手続きなどの機会にこうした状況情報を提供すべきだとした。
また、災害リスクを踏まえた住まい方への転換も求め、宅地建物取引業者が不動産購入者に災害リスクに関する情報を提供することも提案している。
一方、社会経済の壊滅的な被害の回避に向けては、最悪の事態を想定・共有し、行政、公益事業者、企業などが連携する体制の構築を目指す。応急活動、復旧・復興に向け、防災関係機関、公益事業者における重要施設の耐水化や業務継続計画の作成を促す。また、関係機関が連携して災害時に対応できるよう「関係者一体型タイムライン」(時系列の行動計画)の策定を求めた。
提供:建通新聞社