日本建設業連合会(日建連)は社会保険未加入対策を加速させるため、会員企業が元請けとなる工事で2016年度以降に未加入の下請け企業を全て排除する。15年度からは下請負契約に当たり、標準見積書などで法定福利費の内訳明示を求める。偽装請負の排除に向け、職業安定法や労働者派遣法などに違反しないよう下請け企業に対する指導も徹底する。これらを盛る「社会保険加入促進要綱」を定め、4月1日付で適用を始めることを19日の社会保険未加入対策推進協議会に報告した。
国土交通省が17年度をめどに企業単位で加入率100%、労働者単位では製造業相当の社会保険加入を目指す中、公共事業よりも相当低いとみられる民間事業での加入状況や、地域・職種による格差などを早急に是正。日建連会員企業が「建設業のリーディングカンパニー」として、足並みをそろえて対策に取り組むために要綱を策定した。
要綱によると、社会保険未加入の下請け企業の排除では、まず日建連会員企業が未加入の1次と「15年度以降」は契約を結ばないこととし、未加入の2次以下については「16年度以降」に契約を結ばないよう1次を指導する。下請け契約時に企業単位と労働者単位の加入を指導するとともに、契約後には加入状況も確認する。特に労働者は作業員の名簿レベルでチェックするという。
法定福利費の内訳明示は、標準見積書の一斉活用開始(13年9月)に合わせて作成したマニュアルにある「適正な法定福利費を含んだ(又は明示した)見積書の作成・提出」との規定を一歩進めた格好だ。
偽装請負の排除に関しては「行き過ぎた重層下請構造が労働者の劣悪な処遇を招いている」との認識の下、18年度までに下請け次数を「原則2次」(設備工事は3次まで)とするよう1次を指導。その上で、1次には直接、2次以下には1次を介して「偽装請負など職業安定法や労働者派遣法等に違反しないことを徹底する」よう指導していく。
これらの大前提として、日建連会員企業は▽適正価格での受注▽適正工期の確保▽適正な契約条件の確保―に徹する。
一方、行政に対しては、受給資格の緩和など労働者が加入しやすい社会保険制度の整備、建設業許可・更新時の社会保険加入指導の徹底、法定福利費の簡便な算出方法の作成、企業・労働者の加入実態の確認が容易にできる「就労管理システム(仮称)」の早急な構築などを求めていく。
提供:建通新聞社