国土交通省は8日、自民党国土交通部会に2014年度同省関係補正予算案を報告した。広島土砂災害などの大規模災害で被害を受けた公共土木施設の復旧に国費997億円、自然災害へのリスクを踏まえた緊急防災対策に1333億円を計上。落ち込みが続く住宅市場の活性化にも2095億円を投じる。また、国庫債務負担行為(ゼロ国債)として事業費2523億円を確保できるようにし、公共事業の発注平準化にも取り組む。
政府の緊急経済対策の裏付けとなる14年度補正予算案は、きょう9日に閣議決定される。国交省関係では「現下の経済情勢等を踏まえた生活者・事業者への支援」に2647億円、「地方が直面する構造的課題等への実効ある取り組みを通じた地方の活性化」に101億円、「災害復旧など災害・危機への対応」に2703億円の総額5451億円(いずれも国費)を計上する。
災害対応では、広島土砂災害など、14年に発生した台風、豪雨、地震などで被害を受けた公共土木施設などの復旧に997億円を盛り込んだ。併せて、自然災害のリスクが高い地域・施設に対する緊急防災対策も実施する。
南海トラフ地震による津波被害リスクが高い地域などに対する河川の緊急防災対策には251億円、道路の防災対策・耐震対策や代替路の整備には392億円を盛り込む。防災・安全交付金には505億円を積み、地方自治体が実施する土砂災害防止法に基づく基礎調査、地震・地滑りへの緊急対応を支援する。
消費税率引き上げ後に着工戸数の落ち込みが続く住宅市場の活性化に向けては、住宅金融支援機構のフラット35Sの金利引き下げ幅を現行のマイナス0・3%からマイナス0・6%に拡大するため、1150億円を計上。さらに、住宅・建築物の省エネルギー化の推進に935億円を確保し、省エネ性能の高い住宅の新築・リフォームに対するポイント発行制度などを開始する。
補正予算による公共事業の執行に当たっては、13年度補正予算成立時と同様、円滑な施工確保対策を講じる。最新の労務単価の適用、発注ロットの拡大、地域外からの資材調達に対する適切な支払い、適切な工期の設定などにより、入札不調の発生を未然に防ぐ。
提供:建通新聞社