財務省の財政制度等審議会は、2015年度当初予算の編成に向けた建議をまとめた。公共事業に関しては、インフラの老朽化対策を計画的・効率的に進めるとともに、新規投資を厳選し、全体規模を抑制すべきと提言。社会資本整備総合交付金は計画的・効率的に老朽化対策を進める地方自治体を支援する形への見直しを求めた。公共事業の担い手については、大幅に減少することを前提とした「現実的な対応」を検討すべきとした。
今回の建議では、自治体によるインフラの老朽化対策について、特に効率化を求める内容となった。自治体に対して、インフラ長寿命化計画(行動計画)を策定し、今後の維持管理・更新の方針や費用の見通しを示す必要性を指摘。人口減少などを踏まえて自立可能な計画とすることも求めた。
国に対しては、適切に計画を策定している自治体への財政・技術支援を講じることを要求。個別事業の箇所付けを自治体の裁量に委ねる社会資本整備総合交付金については、将来の老朽化対策費の見通しを把握せず、多数の事業を計画している自治体があることを問題視。地域の将来を見据え、計画的・効率的に取り組む自治体を支援する方向に交付金を見直すことを要請した。
建議では、公共事業の担い手である建設業についても触れている。建設業の就業者数が将来的に大幅に減少する可能性が高いとした上で、災害復旧や豪雪地における除雪といった建設業が果たす役割を「現在の規模で維持することは困難」とした。さらに「建設業を維持するために公共事業を増額するような財政的余裕はない」として、厳しい見通しを踏まえた現実的な対応を検討することを求めた。
具体的には、維持管理・更新事業へのシフトが見込まれる建設投資について、建設業がこうしたニーズに対応する必要性を指摘。より少人数で必要な事業を実施するため、効率的な施工を可能とする技術革新を追及すべきとも提言している。
提供:建通新聞社