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2014/12/26

賃金水準61・2%が引き上げ 国交省調査

 国土交通省が行った「2014年度下請取引等実態調査」で、技能労働者の賃金水準を引き上げた(予定含む)と回答した建設業者が61・2%に上り、前年度から11ポイント増加したことが分かった。引き上げの理由には「引き上げなければ労働者を確保できない」とする回答者が最多だった。次数別では、3次下請け以下で賃金水準を引き上げた業者が42・9%と最低で、その平均も大きく下回っている。法定福利費を内訳明示した見積書(標準見積書)を提出しているとの回答は、全体の31・6%(一部工事での提出含む)だった。
 14年度の実態調査は、全国から無作為抽出した建設業者1万1585者の回答を集計した。今回の調査では、建設業法に基づく指導を行う必要がない適正回答業者は全体の3%で、前年度と比べ0・4ポイント低下。ただ、是正措置の指導対象となる27項目のうち、前年度より改善した項目は23項目で、総じて適正回答率は改善された。
 技能労働者の賃金水準については、賃金水準を引き上げた業者の割合が61・2%と前年度より11ポイント上昇。引き上げの理由として、前年度調査では「公共工事設計労務単価の上昇」を上げる業者が最も多かったが、今回は「実勢価格が上がり、引き上げなければ必要な労働者を確保できない」が最多の39・9%となり、「若年者の入職促進など業界全体の発展に必要」の29・3%、「業績好調で以前よりも賃金に回せる資金を確保できた」の29・2%が続いた。
 次数別の引き上げ状況では、元請けの60・8%、1次下請けの63・6%、2次下請けの55・8%が引き上げたと回答、いずれも前年度を上回る結果となった。しかし、3次下請け以下では賃金水準を引き上げたとの回答は最低の42・9%で、前年度の結果と比較しても9・8ポイント低下した。
 また、1年前と比べ、請負契約額を増額されたと答えた業者は全体で36・4%いたが、3次以下の下請けでは11・5%と全体の平均を大きく下回った。増額分が下請け次数の低い業者にまで、行きわたっていないとみることもできそうだ。
 14年度調査で新たに設問を追加した法定福利費を内訳明示した見積書(標準見積書)については、下請けに提出を働き掛けているとした元請けの回答が28・7%、元請けに提出しているとした回答が31・6%あった(いずれも一部工事含む)。下請けに提出を働き掛けていない理由としては「必要な法定福利費相当額を契約金額に含めて支払っている」とした回答が32%で最も多かった。
 下請けが標準見積書を提出しない理由としては「注文者が提出を求めてこない」が最多の33%。このうち知事許可の一般建設業者は、標準見積書を知らないとした回答が最多の35・5%だった。

提供:建通新聞社