国土交通省は24日、社会資本整備審議会の「気候変動に適応した治水対策検討小委員会」に、気候変動で増加・激甚化する土砂災害に対して取り組むべき適応策を提示した。気候変動によって、計画規模を超える局地的な豪雨や1000_を超える記録的大雨などが増加しているとして、深層崩壊などで生じる超過外力に対し、粘り強く減災効果を発揮する砂防堰堤の構造を検討する方針を示している。
小委員会では、水災害分野における気候変動を踏まえた適応策について2013年度から検討を進めており、この中で土砂災害に対する適応策も盛り込む。
土砂災害は、気候変動による突発的・局所的な大雨、記録的大雨などによってここ数年増加傾向にある。1994〜2003年度の10年間では、年平均840件発生していたのに対し、直近の04〜13年度は平均1180件と1・4倍に増えた。
国交省では、8月の広島市における土砂災害を教訓としてすでに土砂災害防止法を改正し、警戒避難体制の強化を進めているが、事前準備のための「リードタイム」が短い災害に対してはハード対策も含めた対応が求められる。
24日に示された適応策では、深層崩壊などで生じる超過外力に対しては、施設機能をできるだけ粘り強く、長時間にわたって発揮する構造を検討する必要性を指摘。具体的には、砂防堰堤の袖部を鉄筋などで補強することで、土砂補足効果を最大限に高め、袖部が破壊されても下流へ土砂が流出しづらい構造を検討する。
また、非越流部にも砂防ソイルセメントなどで水叩き工を施工し、計画規模を超える土石流が越流しても前庭部が洗掘されにくくする。鋼製構造物については、構造部材だけでなく、機能部材もできる限り粘り強く機能を発揮できる構造にする。
提供:建通新聞社