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2014/12/24

改正士法 報酬基準の周知へ民間団体に要望 

 日本建築士事務所協会連合会(日事連・大内達史会長)ら建築3会は、2015年6月の改正建築士法の施行を前に、日本経済団体連合会や日本商工会議所などの民間団体に対し、国土交通省が定める報酬基準に準拠した契約締結の重要性を訴えるため、要望書を手渡した。日事連、日本建築士会連合会(三井所清典会長)、日本建築家協会(JIA・芦原太郎会長)が手分けして各団体を直接訪問し、改正士法の主旨や、業務報酬基準に関する規定の中身を説明。今後、年明けにも内閣府や総務省など15府省を中心に同様の要望を行う。地方自治体や都道府県単位の民間団体に対する要望については、3会の単位会や支部、地域会などが中心的役割を担う。
 ことし6月に成立・交付された改正建築士法には、国交省が定める報酬基準(告示第15号)に準拠した契約締結の努力義務化が規定として盛り込まれた。建築士だけでなく、一般の消費者である建築主にも「報酬基準に基づいた委託代金での受託契約締結」という一定の責務が課されるため、まずは主要な民間団体に改正内容の周知を進める。
 すでに、建築3会は経団連のほか、▽日本損害保険協会▽住宅産業団体連合会▽不動産協会▽全国銀行協会▽生命保険協会▽全国宅地建物取引業協会連合会ーなど10団体を訪問。業務報酬が合理的・適正に算出されることが、設計・監理業務の適正化には不可欠であることを強調した。
 19日に会見に応じた日事連の大内会長は、周知活動を通じて「設計・監理業務の発注時には、過度のコスト縮減によって、著しく低い報酬額で契約せざるを得ないケースがあることも事実。このようなダンピング受注では、業務の質の低下を招く恐れがある」と警鐘を鳴らしつつ、建築主にも報酬基準をベースにした金額設定がより浸透するよう、理解を求めていく姿勢を示した。3会の要望に対する各団体の反応として、士会連合会の三井所会長は「建築物の安全性確保と質の向上を図るために、適切で円滑な設計・監理業務の実施が必要なことは、おおむね理解していただいたはず」との認識を述べた。
 官公庁に対しては、15年1月上旬にも3会が各省庁を訪れて、同様の要望活動を実施する。改正士法の報酬規定を反映した必要な設計額の確保など、15年度予算の編成時における配慮を求めるという。
 一方で、大内会長は「地方に拠点を置く中小・零細企業や個人事業主に対する周知こそが重要。きめ細かく改正内容を説明することで、施行時の混乱を最小限に抑えたい」との考えを示した。そこで3会は、傘下である単位会や地域会に対し、地方自治体や各企業への周知活動の実施協力を要請する方針だ。

提供:建通新聞社