国土交通省は、富士教育訓練センター(静岡県富士宮市)を訪れた工業高校生を対象に、建設業のイメージや入職に関する意識調査を行った。卒業後の進路について「建設業に就職したい」と答えた生徒は全回答の69%を占め、職種としては「総合建設業(施工管理)」「大工」「設計」の順に人気が高い。就職先を決める理由や仕事に求めることには「やりがい・達成感」との回答が最多だったが、経営の安定性、高収入、休日日数を求める声も次いで多い。
調査には、建設業協会などの協力で、夏休みの期間(7月12日〜8月29日)に富士教育訓練センターで安全衛生教育などの訓練を行った土木・建築系の工業高校生312人を対象に実施した。
工業高校に入学した理由を尋ねる設問では「建設業の仕事をしたかった」が43%と最多で、「就職(将来)の役に立つ」の27%、「建設関係の知識・資格を取得できる」の14%が続いており、工業高校に入学する時点で建設業への入職を考えている生徒が大半。建設業に関心を持った時期としても「中学校」との回答が最も多い。
このため、建設業に対するイメージについても(複数回答)、「ものづくりの喜びや達成感を味わえる」が167人、「建設の仕事を通じて人の役に立てる」の166人と半数以上が建設業に好意的な印象を持っている。一方で「社会保険が未完備」と答える生徒も13人おり、社会保険未加入問題に取り組む建設業の実状を知る生徒も少なからずいた。
卒業後の進路については、建設業への就職を考えている生徒が69%、進学が22%、他産業への就職が9%。就職を希望する他産業としては「自動車」「IT通信」などの回答が目立つ。
就職先や将来の仕事を考える上で、参考にしている情報源としては「教職員」と答える生徒が199人と全体の3分の2以上を占め、進路を決める際に教職員が与える影響が大きいことがうかがえた。建設業に就職する上で知りたい情報としては「必要な資格・技能」と答える生徒が最も多かった。
工業高校生の建設業に対する意識調査は、国交省が今回初めて行ったもの。土地・建設産業局市場整備課は、調査結果について「若年層の入職促進策に反映させたい。建設業団体などにも入職促進策を講じる際の参考にしてもらいたい」と話している。
提供:建通新聞社