経済産業省は「再生可能エネルギースキル標準(Green Power Skills Standard)」(GPSS)を策定した。再生可能エネルギー発電事業のプロセスを整理した上で、それぞれの過程で必要とする専門職種を明確化。さらに職種ごとのキャリアフレームワークを示し、それぞれの職種に求める職能レベルを明らかにするなど、この事業分野でのビジネスに必要とされるスキルや知識を体系化した。
再生可能エネルギー発電事業へ新規参入する事業者は、固定価格買取制度が2012年度から導入されたことを契機に増加している。
一方で、これまでは事業を適切かつ効率的に進める上で必要な人材や、その人材が保有すべきスキル・知識の全体像が明確にされておらず、人材を教育・養成する学習プログラムなども十分に整備されていなかったことから、この分野で必要な人材像を明確にした上で、体系的な人材育成の仕組みを早期に整備する必要性が指摘されていた。
GPSSは、事業プロセスを「予備調査」「詳細検討」「発電所設計」「同工事」「同運営」「同撤去」―の6つに大別した上で、個々のプロセスごとに区分すべきサブプロセスとタスクを明確化した。
例えば「予備調査」プロセスでは、再エネ発電事業を計画する際の基本条件を検討することとし、サブプロセスは立地可能エリア調査と資源状況調査の2つで構成。「詳細検討」プロセスでは「予備調査」プロセスで実施した調査結果を基に事業を実施するか否か検討することとし、発電設備の設置地点、発電規模、機種選定、環境アセス、運用計画などのタスクを実施する実現可能性検討と、事業の経済性評価を行う事業性評価の2つのサブプロセスで構成した。
その上で「エネルギーアーキテクト」「プロジェクトマネジメント」「コンサルタント」「エネルギー技術スペシャリスト」「基盤技術スペシャリスト」「オペレーション&メンテナンス」「ビジネススペシャリスト」―の7職種の人材を定義。それぞれの専門職種が事業のプロセスにおいて獲得すべき成果と果たすべき役割を具体的に示した。
経産省は、再エネ事業に関連する人材に期待されるプロフェッショナルとしての役割や、その人材に必要なスキル・知識を体系的かつ具体的に示したGPSSが、再エネ発電事業者と高等教育機関などにおける共通言語(キャリア・スキルと知識体系)として使用されることを期待している。
提供:建通新聞社