国土交通省の「総合評価方式の活用・改善等による品質確保に関する懇談会」は27日の会合で、直轄工事で2013年度に本格運用を始めた「総合評価方式の二極化」の現状について意見を交わした。国交省は、二極化後に総合評価全体の9割を占めるようになった「施工能力評価型」について、「T型」「U型」のタイプ選定や「T型」における施工計画の審査に各地方整備局間で「ばらつき」があると分析。各地整間でタイプ選定や審査の在り方に共通認識を持たせる方向性を示した。
直轄工事では、工事の難易度に応じて3タイプ(簡易型、標準型、高度技術提案型)を適用していた総合評価方式について、13年度から簡易に技術力を評価する「施工能力評価型」と技術提案を重視する「技術提案評価型」に「二極化」した。
全地整が本格運用を始めたことし1月から7月までの実績をみると、港湾・空港関係を除く全工事のうち、施工計画の提出を求める「施工能力評価型(T型)」が28%、企業の実績で技術力を評価する「施工能力評価型(U型)」が67%と、全体の95%を施工能力評価型が占めた。
全国ベースでは67%をU型が占めるが、施工能力評価型のタイプ選定には地整間でばらつきが顕著に出た。全国ベースとは反対に、北海道開発局はT型が63%を占めた一方、九州はT型が6%、U型が92%と逆にU型の適用工事がほとんどだ。
施工計画を提出しないU型を適用した工事で、工種・難易度によって工事成績が65点を下回る工事も発生している。このため、国交省は会合で、品質低下の傾向がみられる工種・難易度で、施工計画を提出するT型の適用を検討するとした。
また、T型における施工計画の審査方法にも地整間にばらつきがある現状も明らかになった。T型では、施工計画を「可」か「不可」の2段階で評価しているが、施工計画を不可と審査した工事の割合が地整によって全適用工事の0・2%から8・4%の開きが生じている。
国交省は、審査結果にばらつきが生じている要因が、施工計画を求める際に▽検討事項(周辺環境への対応など)▽施工の段階・箇所(施工時の留意点や対応など)▽審査基準―を事前に明示しているかの有無にあると分析。審査基準などを明示するよう各地整に周知することに加え、工事の性格に応じた適切な審査方法を整理する方針を示した。
提供:建通新聞社