トップページお知らせ >中央ニュース

お知らせ

中央ニュース

2014/11/28

設計図書の不備が工程遅れの原因 電設協

 設計図書の不備が工程遅れなどの業務負担増、コスト増につながっている―。日本電設工業協会(電設協、山口学会長)が会員企業へのアンケート調査を基に「設計図書の現状と課題」をまとめたところ、電気設備工事会社の本来業務ではない設計図書の作成・変更や他業種との調整などを求められ、これらの作業が工程遅れの大きな要因となっていることが確認された。「本来業務ではない作業を行ったことに伴う経費の支払いがなかった」と答えた企業も81%あった。
 これまで会員企業が求めらた「電気設備工事会社の本来作業ではない作業」としては「設計図書の作成・変更」(21%)、「他業種との調整」(19・5%)、「追加見積りの作成・変更」(17・6%)、「発注者(顧客)への対応」(13・5%)などが挙がった。
 本来業務ではない作業を行ったことに対し、経費の支払いが「なかった」が81%で、「あった」は5・9%、「一部あった」は13・2%にそれぞれとどまった。
 工程遅れの要因について聞いたところ、「建築(躯体の仕上げ)工事が当初のマスター工程により遅れた」(25・4%)、「施主による追加・変更指示があった」(18・9%)などの答えに、「設備工事の着手時期になっても設計内容が確定せず、施工図が作成できない」(16・5%)、「内装などの工事と同時作業になり、通常の倍の作業時間を要した」(13・4%)などの回答が続いた。
 設計図書の必要範囲については、多くの企業が▽基本設計・実施設計・設備設計などの設計図書▽参考図書▽共通・特記仕様書▽施工条件の明示▽参考数量表▽建築マスター工程表▽現場説明書▽質問回答書―の全てが必要と回答。公共工事、民間工事を問わず、施工条件の明示と現場説明書を受領していないケースが多かった。民間工事は「共通・特記仕様書」を受領しているケースが少なかった。
 設計図書については「疑ってかかれ、と言われるほど不備がある」「設計事務所、ゼネコンの設計部門が作成する設計図は積算用図面としての機能しかなく、本来の実施設計とは程遠い」などの厳しい意見もあった。 また「本来設計事務所やゼネコンに差し戻すべきものを、設備工事会社が再設計や変更書類の作成などを行っており、多大な負担となっている」「竣工に間に合わせるため、休日の工事や段取りなど24時間体制で対応している」といった、悲鳴とも怒りとも聞こえる回答もあった。追加・変更工事の発生に伴う追加費用を認めてもらえず「原価割れになっている」と答えた企業も9割弱あった。
 電設協は今回の調査結果を踏まえ、日本空調衛生工事業協会(日空衛)や日本設備設計事務所協会などとも連携し、設計図書の精度向上に向けた提案を日本建設業連合会(日建連)や、日本建築士事務所協会連合会(日事連)などに行っていくことにしている。

提供:建通新聞社