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中央ニュース

2014/11/28

新たな防災・減災で提言素案

 国土交通省は26日、局地化・激甚化した災害対応について議論する「新たなステージに対応した防災・減災のあり方に関する懇談会」の3回目の会合に、同懇談会の提言の素案を提示した。素案では、大規模水害による死者数・孤立者数の被害想定を作成・公表し、住民の危機意識を高める必要性を指摘。災害リスクの高い危険区域への法的な居住制限を促進するとともに、災害の発生頻度と被害レベルの情報公開、土地ごとに床上浸水が生じる頻度を評価することなどを求めている。
 懇談会は、8月の豪雨による広島市北部の土砂災害に代表されるように全国的に災害の局地化、集中化、激甚化が進んでいることを問題視し、住民の生命を守ることと社会経済の壊滅的被害の回避をテーマに、新たな災害対応の在り方を議論するとして設置された。
 提言の素案では▽大都市の多くの区域がゼロメートル地帯に位置▽地質は地殻変動により複雑で、断層が多く、風化が進行し崩れやすい▽世界の活火山の1割弱が存在―などと、わが国が「脆弱(ぜいじゃく)な国土」であることに言及。さらに、マニュアル偏重の災害対策で「人が災害に対して脆弱になっている」、都市機能の集約化で「都市がますます脆弱になっている」と懸念を示した。
 大規模水害の危険性については、浸水深が3階以上に達し、避難しなかった場合に死者の発生率が極めて高くなるなどと警鐘を鳴らし、広域避難や救助の備えを充実させるべきと訴えている。水害発生時の死者数・孤立者数に関する被害想定を作成した上で、国・地方自治体、公益事業者などが連携した具体的な行動計画(タイムライン)を策定することを求めた。
 災害リスクの高い地域への居住を制限するため、建築基準法に基づく災害危険区域、土砂災害防止法に基づく特別警戒区域などの法的規制に加え、開発事業者などに住宅の構造や建築場所を適切に誘導する必要性を周知することも求めた。最大クラスの災害だけでなく、それ以下の災害に対しても、発生頻度と被害レベルの情報公開を進め、この情報を踏まえて土地ごとに床上浸水が生じる頻度を評価する必要性についても指摘した。

提供:建通新聞社